第1200回 祈るような気持ちで送り出す日々

2016/11/03 10:30

 わが家の猫「たら」(写真)は、9歳の雄である。
 猫好きの知人が、海岸で保護した2匹の猫のうちの1匹だ。まだ生まれて間もないときに捨てられていたので、もう少し見つかるのが遅かったら死んでいただろうという。
 わが家では長年、犬を飼っていたのだが、最後の犬が亡くなってから「たら」がわが家に来た。猫を飼うのは私も夫も初めてで、一緒に暮らしてみると、たらは気の強い猫だった。
 わが家に来てから半年後に去勢手術で入院したときも、暴れてずいぶんと先生をてこずらせたようだ。
 普通、雄猫というのは去勢手術を受けると攻撃性が和らぎ、よその猫とけんかをするなどの問題行動が減るという。しかし、たらは違った。夜、外からギャオオオーと相手を威嚇する大きな声が聞こえると、夫と「あの声はたらだ」「しょうがないやつだな」と言いながら外へ出る。そして、尻尾を普段の何倍にも膨らませ、相手と向き合っているたらを抱いて連れて帰るのである。
 たらの行動範囲はかなり広いらしく、私たちによる強制終了で阻止しきれなかったけんかもたくさんあるはずだ。ケガを負い、動物病院へ連れていったことも一度や二度ではない。
 外でたらを見かけることがあるが、肩で風を切って堂々と歩いていて、とても去勢されているようには見えない。もし手術を受けていなければ、この辺り一帯のボス猫になっていたであろう。
 しかし、たらももう9歳。最近少し落ち着いて、けんかも減り、甘えてくることも増えた。
 今日も外へ出かけていくたらを、「けんかするんじゃないよ、車に気を付けるんだよ、無事に帰ってくるんだよ」と祈るような気持ちで送り出す。

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