ビヨンセ、『ライオン・キング』とアフリカへの想いやケンドリックとのコラボを語る
ビヨンセ、『ライオン・キング』とアフリカへの想いやケンドリックとのコラボを語る

 現地時間の2019年9月16日、フルCGリメイク版『ライオン・キング』のサウンドトラック・アルバムの制作過程を追ったドキュメンタリー番組『Beyonce Presents: Making The Gift』が放送された。

 ビヨンセが“アフリカへのラブレター”と呼ぶ、プロデュースとキュレーションを手掛けたサウンドトラック・アルバム『The Lion King: The Gift』は、映画の世界観はもちろん、20数年の音楽人生の中で幾度となく訪れたアフリカ大陸そのものからインスパイアされている。

 ドキュメンタリーの冒頭で彼女は、「先祖との絆を求めている自分の一部と和解しているみたい」と、アフリカへ行くたびに直感的に感じる繋がりや、3人の子どもたちにも経験してもらいたい目標などについて語っている。子どもの頃、オリジナル版『ライオン・キング』が一番好きな映画だったという彼女は、ディズニーからナラ役をオファーされた時は圧倒されたそうだ。

 「(オリジナル版が持つ)気概とか現実を損ないたくなかった。“ライオン・キング”にはとても現実的な人生の教訓が込められている。それを薄めたり、本当のアフリカらしさをなくしたくなかった。そしてそれは全てドラム・ビートやグルーヴから始まっているんだよね」と彼女は説明し、「あと、音楽がいわゆるありがちなサウンドトラックではなく、子どもが安心してワクワクしながら親と一緒に楽しめて、親も同様に子どもと楽しめるものにするということが自分にとって大事だった」と話している。

 ドキュメンタリーには、これまで公の場で姿を見る機会があまりなかったカーター家の双子ちゃんもちらっと登場しており、ビヨンセが娘のルミちゃんに動物の声を聴かせて反応を見ている様子などが捉えられている。長女のブルー・アイヴィーちゃんも成長し、お母さんが持っていてくれる「ブラウン・スキン・ガール」の歌詞をほとんど見ることなくマイクに向かって堂々と歌っている。

 また、ビヨンセがマイクの前に立ち、アイデアがひらめくまで何かをスキャットしながら思考を巡らしている姿など、音楽制作のプロセスも垣間見ることができる。何度も繰り返し長い音を出し続けたり、ドキュメンタリーの最後の方にはピアノの音だけで「スピリット」を優しく歌っている様子も捉えられており、音楽制作に対する彼女の真摯な姿勢が見て取れる。

 またあるシーンで彼女は、「ケンドリックが送り返してきてくれたものが、潜在意識のようなサウンドだったんだよね」と明かし、「死ぬ直前の瞬間のような、人生が走馬灯のように駆け巡る中で必死に生き延びようとしているような」とケンドリック・ラマーのヴァースを表現している。

 ドキュメンタリーでは、プロデューサーのLord AfrixanaとShizzi、Moonchild Sanelly、Tiwa Savage、Shatta Waleなど、サウンドトラックに関わった新進気鋭のアフリカ人アーティストたち全員にもスポットライトが当たっている。アルバム制作にかけられる時間は限られていたとビヨンセは明かしているが、ある程度の情熱を持った者たちが準備万端で米ロサンゼルスのパークウッド・エンターテインメントに集合した。当時についてShizziは、「あの人たちを見た時、実感が出てきた。ちょっとうちに帰ったみたいだった」と語っている。