配信とタイアップでチャートを制する?! ONE OK ROCKの戦略【Chart insight of insight】
配信とタイアップでチャートを制する?! ONE OK ROCKの戦略【Chart insight of insight】

 新譜とロングセールスが入り乱れて激戦状態のHot100。そんななかで注目したいのが、今週6位にチャートインしたONE OK ROCKの「Wasted Nights」だ(【表1】)。先週は初登場14位だったが、一気にベスト10に飛び込んできた。2月13日にニュー・アルバム『Eye of the Storm』がリリースされたというタイミングだけに、順当な結果といってもいいかもしれない。

 彼らの場合は、配信を非常に上手く使いこなしているというのがこの結果からわかる。この曲はアルバムに先駆けて2月1日に先行配信されている。フィジカルのCDによるシングルではなく、あくまでもダウンロードとストリーミングのみだ。ダウンロードに関しては、先週の2位から今週は7位と順位は落ちている。ただ、ストリーミングでは20位から一気に4位にまで上昇しているのだ。

 ここから見えてくるのは、コアファンによるダウンロードで初動を稼ぎ、グレーユーザーのストリーミングでじわじわと浸透させていくというイメージだ。ただ、浸透させるにはそれなりの施策が必要となるが、彼らにはタイアップという大きな強みがある。この曲も映画『キングダム』の主題歌に決まったというニュースがあり、アルバムリリースと合わせてラジオでのオンエアが一気に促進されている。配信とプロモーションのバランスの結果、この順位を勝ち得たと言えるかもしれない。

 ちなみに、昨年11月に配信されている「Stand Out Fit In」も再度24位にまで上昇中だ(【表2】)。こちらもCMタイアップ露出の影響もあって、ストリーミングではずっと上位にとどまっており、ラジオのオンエア回数や動画再生数などと絶妙にリンクしながらチャートを推移している。

 配信リリースをベースに、タイアップとメディア露出の相乗効果で話題作りをする。フィジカルのCDリリースがなくてもここまで組み立てられるのはさすがだ。来週はアルバムリリース後のポイントが加算されるが、どのような結果になっているのかをぜひ注目していただきたい。Text:風奏陽