【米ビルボード・アルバム・チャート】ブロックハンプトンが初No.1、ジョシュ・グローバン2位初登場
【米ビルボード・アルバム・チャート】ブロックハンプトンが初No.1、ジョシュ・グローバン2位初登場

 ブロックハンプトンの新作『イリデセンス』が初登場1位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 本作『イリデセンス』は、2017年12月に発売した3rdアルバム『サチュレーションIII』からわずか9か月でリリースされた、通算4作目のスタジオ・アルバム。その前作『サチュレーションIII』の最高位は15位(R&B/ヒップホップ・チャート5位)だったが、一気に記録を更新し、自身初の全米No.1獲得を果たした。本作は、<RCA Records>へのレーベル移籍後初のアルバムで、まさに華々しいデビューを飾ったといえるだろう。オーストラリア(6位)やニュージーランド(2位)でも、初のTOP10入りを果たしている。

 初動ユニット数は101,000で、そのうちアルバムの売上枚数が79,000、ストリーミングによるみなし売上が22,000程度だった。ヒップホップ・アーティストには珍しく、セールスの方が圧倒的に強い。理由としては、公式サイトでのグッズがセットになったバンドル販売、ヒップホップ・ファン以外からの支持が厚いことなどが挙げられる。ブロックハンプトンは、 リーダーのケビン・アブストラクトがカニエ・ウェストのファンサイト<Kanye To The(カニエトゥザ)>でメンバーを募い結成された、ヒップホップ・グループ。ジャンルにとらわれないスタイルから、自らを“アメリカン・ボーイバンド”とうたっている。

 ストリーミング・チャートでは、週間2,880万視聴を記録して13位にデビュー。悪い数字ではないが、ヒップホップ・アーティストの初動ストリーミング・ポイントとしては決して高くない。ただ、ストリーミングやエアプレイについては、集計対象外での視聴回数の方がむしろ高く、これらの結果(集計)だけでは評価できない。

 続いて2位には、ジョシュ・グローバンの『ブリッジズ』が初登場。スタジオ・アルバムとしては、2015年リリースの『ステージズ』(最高2位)以来3年ぶり、8作目のアルバムだが、その『ステージズ』はミュージカル曲のカバー・アルバムのため、オリジナル曲を含むアルバムとしては2013年の6thアルバム『オール・ザット・エコーズ』以来約5年ぶりとなる。初動ユニットは96,000で、そのうちアルバムの売上が94,000枚、ストリーミングによるセールス1,000枚とごく僅かだった。セールス・チャートでは初登場1位を記録している。

 ジョシュ・グローバンのファンは、比較的年齢層も高いため、ダウンロードのみならず、パッケージ・セールス(CD) も高い。これは、ベテラン・アーティストのアルバムでもよくみられる傾向。また、主流化しつつあるコンサートチケットとの連動(償還)も、売上に大きく貢献している。ジョシュ・グローバンは、2001年のデビュー・アルバム『ジョシュ・グローバン』(最高8位)から、8作連続のTOP10入りを果たしていて、そのうち2nd『クローサー』(2003年)、4th『ノエル』(2007年)、前述の『オール・ザット・エコーズ』の3作が1位を記録している。

 エミネムの『カミカゼ』は週間65,000ユニットを獲得し、2位から3位にダウン。ドレイクの『スコーピオン』(63,000ユニット)は4位、トラヴィス・スコットの『アストロワールド』(57,000ユニット)は5位、ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』(57,000ユニット)は6位に、それぞれ安定したユニット数で順位をキープした。3作とも、アルバムからのシングルがソング・チャート“Hot 100”でTOP10入りしている。先週の10位から8位にランクアップした、ジュース・ワールドの『グッドバイ&グッド・リデンス』(35,000ユニット)からも、シングル「ルーシッド・ドリームス」が4位まで上昇している。

 2018年としては女性シンガー最高の初動ユニット数266,000を獲得し、先週No.1ビューを飾ったキャリー・アンダーウッドの『クライ・プリティ』は7位まで急落した。今週獲得したユニット数は36,000で、初週と比較すると20万以上もポイントダウンしている。セールスの強いアーティストは、初週に上位デビューを果たすが、ストリーミングによるポイントが安定していないため、次週ランクダウンすることが多い。傾向からみると、今週上位に初登場した2作も、次週はランクダウンする可能性が高い。

 9位に再浮上したのは、ローレン・デイグルの『ルック・アップ・チャイルド』。9月22日付チャートで3位にデビューし、先週16位までダウンしたが、今週21,000ユニットを獲得し、返り咲きのTOP10入りを果たした。その理由は、セレーナ・ゴメスが自身のインスタグラムのストーリーに本作収録の「ディス・ガール」を生歌で披露し、お気に入りの曲として紹介したこと。それとともに、インスタグラムを休止すると発表したことで楽曲にも注目が集まり、ストリーミングが上昇した。SNSによってポイントが上昇するのも、昨今のチャート・アクションの傾向といえる。ドレイクの「イン・マイ・フィーリングズ」が10週のNo,1をキープしたのも、同曲に合わせて踊る“ダンス・チャレンジ”動画がSNSでヒットしたからだ。

Text:本家一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは、10月5日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『イリデセンス』ブロックハンプトン
2位『ブリッジズ』ジョシュ・グローバン
3位『カミカゼ』エミネム
4位『スコーピオン』ドレイク
5位『アストロワールド』トラヴィス・スコット
6位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
7位『クライ・プリティ』キャリー・アンダーウッド
8位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド
9位『ルック・アップ・チャイルド』ローレン・デイグル
10位『スウィートナー』アリアナ・グランデ