【かわさきジャズ2016】佐藤浩一“Melancholy of a Journey”が旅の憂愁へ誘う一夜
【かわさきジャズ2016】佐藤浩一“Melancholy of a Journey”が旅の憂愁へ誘う一夜

 11月11日から11月20日までの10日間にわたって、クラブチッタやミューザ川崎シンフォニーホールをはじめとした川崎市内の複数会場で開催されるジャズフェスティバル【かわさきジャズ2016】。

 11月16日のラゾーナ川崎プラザソル会場に登場したのは、国内外問わず様々なフィールドで活躍するピアニストであり作曲家・編曲家でもある佐藤浩一によるプロジェクト“Melancholy of a Journey”。普段のメンバーに金管・弦セクションを加えた、一夜限りの特別編成で登場した。

 まず初めに同プロジェクトのレギュラーメンバーである土井徳浩(Cl/Bcl)、市野元彦(Gt)、千葉広樹(B)、則武諒(Dr)に佐藤を加えた5人編成で「The Railway Station」をプレイ。佐藤がノルウェーのオスロ国立美術館で出会った1枚の絵画からインスパイアされたというこの楽曲は、4月にリリースされたアルバム『Melancholy of a Journey』でも1曲目を飾っている。本アルバム『Melancholy of a Journey』は、佐藤の中の“哀愁”や“憂鬱”といった感情から生まれる心象風景や、彼が実際に見てきた欧州の美しく儚い情景が、ジャズを土台に様々な音楽が融合した形で表現されている怪作となっている。

 2曲目以降は、トランペット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロを加えた9人編成のスペシャルアンサンブル。渡り鳥の群れが飛んでいく様を表現したという「Bird of Passage」、佐藤がオスロに旅した際に見た美しい雪景色に囲まれた湖の名から題された「Sognsvann」、高速道路を逆走するといった少々穏やかでないイメージから生まれたという「Reverse Run 」、そして1曲目の「The Railway Station」に続くアルバムの4本柱「The Railway Station 2」、「The Railway Station 3」、「The Railway Station 4」と、アルバム収録曲から中心にプレイするセットで、その名の通りメランコリックな世界観に圧倒されてしまうようなステージとなった。

 【かわさきジャズ2016】では今後も川崎市内の各会場で、佐山雅弘&仙波清彦×コリアンオールスターズ、NEW ENGLAND Japan tour 2016【GREATEST HITS LIVE】、小曽根 真 featuring No Name Horses、プラチナ・ジャズ・オーケストラなど、国内外のアーティストによる公演が行われる。

text:Takuto Ueda
photo:かわさきジャズ2016


◎公演情報
【かわさきジャズ2016】
本会期:2016年11月11日(金)~20日(日)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール、ラゾーナ川崎プラザソル、クラブチッタ、新百合トウェンティワンホール、昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ、洗足学園音楽大学ビッグマウス ほか川崎市内各所
有料公演: 12公演
無料公演: 25か所 約40公演
主催:かわさきジャズ2016実行委員会、川崎市
info:http://www.kawasakijazz.jp/