2003年にニューヨークの1番街に開局した広告のないラジオ局、イースト・ヴィレッジ・ラジオが、来週末で放送を取りやめることを発表した。

 同局の本部長で編成部長を務めるピーター・フェラーロはビルボードに対し、「我々は(5月)23日をもって運用を終了します。皆さんの反応には恐縮しています」とコメント。アムステルダムの放送局からは「あなた方は我が局の励みでした」というメールを受け取ったことも明かしている。

 ルー・リードやリチャード・ヘルのようなニューヨークのレジェンド達をはじめ、バイオハザードからマイク・スノウのアンドリュー・ワイアットまで、幅広いアーティストやDJをホストしてきたイースト・ヴィレッジ・ラジオは、後にも先にも他では取り上げないような音楽を紹介するとして広く重宝されてきた。

 なお、終了前には同局の元DJや関係者たち全員を招待するようで、フェラーロは全体に出した招待状にて「この局を特別なものにしてくれた人々をこの2週間でお呼びしたい」と述べている。

 レストランを経営するFrank Prisinzanoが、2003年に出力10ワットの(放送免許を持たない)海賊放送局を開設。ニューヨーク・タイムズに「大きな支えになってくれているイースト・ヴィレッジに恩返しをしたい」と話した。同局は間もなくウェブ経由のストリーミング配信に転換し、世界中から毎月100万人のリスナーを集めたものの、この成功が閉鎖をもたらしたようだ。Prisinzanoは楽曲ライセンス料が経済的に大きな打撃を与えたとし、「我々は新しいリスナーが増えればペナルティーが科される。広告がないため、リスナーが増えてもお金に還元されないのです」と話している。