プライマル・スクリーム来日公演、バンドの歴史を濃縮還元
プライマル・スクリーム来日公演、バンドの歴史を濃縮還元

 今年5月に前作から5年ぶりとなる新作『モア・ライト』をリリースしたプライマル・スクリームが11月6日、東京・新木場STUDIO COASTで来日公演を行った。

 結成からはや30年。2011年に【SONICMANIA】で『スクリーマデリカ』の再現ライブも記憶に新しいくらいなので、久しぶりの来日でもないが『モア・ライト』リリース後の彼らの現在を感じるとしたら抜群のタイミングだ。ライヴ前日11月5日にも同会場で公演を行っており、東京では2公演を行った彼ら。2日目となるこの日は予定時刻より15分強を過ぎたところで開演。

 ステージに登場したボビーはピンクがまぶしい細身のスーツのセットを着て笑っている。1曲目は『モア・ライト』のオープニング・ナンバー「2013」で幕開け。色気たっぷりのボビーをより際立たせるようなサックスの中、ステージは色のないシンプルな照明でメンバーとフロアを刺すように照らす。続けて同じく新作から「ヒット・ヴォイド」を披露しヒートアップ。オーディエンス達の拳が天に突き上げられ、“ボビィィィィィ!”と男臭い歓声が響く。「ジェイルバード」で更に持ち上げ、「バーニング・ホイール」で“アーアーアーアー”を一斉にコールする。ケヴィンやマニがいた頃のように危なっかしい凶暴さはないのかもしれないが、ドラムのダリン・ムーニーと紅一点のベーシスト、シモーヌ・バトラーがきっちりした低音でグルーヴの屋台骨を支え、アンドリュー・イネスとバーリー・カドガンのギターが相互に作用して音像に広がりを出す。そしてキーボードのマーティン・ダフィがプライマルの世界を拡張させる。

 そして、『エクスターミネーター』から「シュート・スピード/キル・ライト」、「アクセラレーター」はマニ不在は問題じゃないと、ファンク・ロックに彩りを変えて爆発させる。ボビーはステージを右に左に動き回り、オーディエンスを笑顔で煽る。その熱気を別のグルーヴに変化させるように新作収録曲に戻り「カルチャーサイド」、「リヴァー・オブ・ペイン」でテンションの下層部に魅惑の“澱”を重ねていく。続く「ダメージド」でピリっとさせ、「グッバイ・ジョニー」で甘く包み込み、「アウトバーン66」を挟んだら本編後半の最強展開へ。“ウーララー”を大合唱させた「イッツ・オールライト、イッツOK」で、溜め込んだ“澱”をメロディーで切り裂き、サイケデリックな空間をまとめあげ、「カントリー・ガール」、「ロックス」の定番ナンバーでロックン・ロールをかき鳴らしてひとまず終了。

 アンコールは「ハイヤー・ザ・サン」に続いてバンド初期名曲の「アイム・ルージング・モア・ザン・アイル・エヴァー・ハヴ」からの「ローデッド」とニクい演出を聴かせて、「ムーヴィン・オン・アップ」で最高のフィナーレを描き切った。オーディエンスから大歓声が贈られる中、ボビーは最後までステージに残り、長い間ファンに感謝の投げキッスを返した。

Photo:MITCH IKEDA

◎【Primal Scream Japan Tour 2013】
2013年11月6日(水)@東京・新木場STUDIO COAST
Set List:
01.2013
02.Hit Void
03.Jailbird
04.Burning Wheel
05.Shoot Speed/Kill Light
06.Accelerator
07.Culturecide
08.River Of Pain
09.Damaged
10.Goodbye Johnny
11.Autobahn 66
12.It's Alright, It's OK
13.Swastika Eyes
14.Country Girl
15.Rocks
En-1.Higher Than the Sun
En-2.I'm Losing More Than I'll Ever Have
En-3.Loaded
En-4.Movin' On Up