風疹が流行の兆しをみせています。
国立感染症研究所は11日、8月27日~9月2日の風疹患者数を発表し、新たに75人が感染。今年に入ってからの累計患者数は362人に上り、昨年1年間の約4倍の患者数となります。東京、千葉、神奈川などの関東地方を中心に感染が広がっています。
そもそも風疹とは、いったいどんな病気なのでしょうか。
まず、「風疹は子どもの頃にかかる病気じゃないの?」と思った方はいませんか。
風疹は、水ぼうそうやおたふく風邪と同様に、幼少期にかかることで免疫を獲得できる病気です。風疹は、春先から初夏にかけて多く見られます。感染してから2~3週間後に、発熱や発疹、後頭部や頚部・耳介後部にリンパ節の腫脹をきたします。
一般に、子どもが感染すると、症状は比較的軽いと言われていますが、大人は、発熱や発疹といった風疹の症状を認める期間が長く、重症化しやすいと言われています。
では、妊婦さんが風疹に感染するとどうなるのでしょうか。実は、お腹の中にいる赤ちゃんも、風疹ウイルスに感染してしまいます。すると、難聴や心疾患、白内障や精神・身体の発達の遅れなどの症状を伴って赤ちゃんが生まれてきてしまうのです。これを、「先天性風疹症候群」と言います。
妊娠中でも、特に妊娠初期の12週までに風疹に感染すると、先天性風疹症候群を発症する可能性が高いことがわかっています。 2013年にも風疹が流行し、年間14,344人もの風疹患者が報告されましたが、この影響で先天性風疹症候群を患った赤ちゃんは45人に上りました。
では、先天性風疹症候群を予防するためにはどうすればいいのでしょうか。
■最も注意が必要なのは成人男性
唯一の予防策が、風疹ワクチンの接種です。けれども、風疹ワクチンは、弱毒化させたウイルスを含む生ワクチンです。ワクチンを接種すること自体が、先天性風疹症候群を発症するリスクとなるため、妊娠中は風疹の予防接種を受けることができません。また、ワクチン接種後は2カ月間の避妊をする必要があります。1回のワクチン接種では免疫獲得が不十分であるため、妊娠を考えている人は、妊娠前に2回の予防接種を受けることが大切なのです。