オリックスの吉田正尚 (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 今や、オリックスの「新たな顔」として、その存在感を、ぐっと増してきているのが、プロ3年目の外野手・吉田正尚だろう。ファン投票選出で初出場を果たしたオールスターでは、ホームラン・ダービーに登場。日本球界を代表する「スラッガー」と認められた8人のプレーヤーしか出場できない目玉イベントは、勝ち抜きのトーナメント方式で、1回の対決は3分間、スイング数は無制限。体力と技術を兼ね備えていなければ勝ち抜けない、ハードな内容だ。

 その注目のバトルで、吉田は輝きを見せた。1回戦では2015、16年に2年連続で打率3割、30本塁打、30盗塁の「トリプル・スリー」を達成したヤクルト・山田哲人に7本差をつける12本で圧倒。その中身もすごかった。5連発を披露し、しかも京セラドーム大阪の最上段席にあたる5階席にも5本をたたき込んだのだ。

 続く準決勝でも10本を放ったが、一昨年の本塁打、打点のセ2冠王、侍ジャパンの4番も務めるDeNAの筒香嘉智に4本差をつけられ、惜しくも敗退。「フルスイングを評価してもらったと思うので、少しでもインパクトのあるプレーをしたい」と意気込んだ初の球宴では、第1戦では中日・松坂大輔から中前タイムリーを放つなど、2試合で8打数3安打1打点。ホームラン・ダービーでの活躍を含め、本拠地・大阪のファンだけでなく、その豪快な弾道で、日本中の野球ファンにも「浪速の主砲・吉田正尚」の名を知らしめた。

 身長173センチ、体重83キロのボディーは、プロの世界では決して大きくない。同じオリックスの大砲で、2010年に本塁打王のタイトルも獲得したT-岡田と比べると、身長では14センチ、体重も17キロも劣る。かつて南海、オリックス、ダイエー(現ソフトバンク)の主砲として活躍、本塁打王3回、打点王2度の「不惑の大砲」こと、門田博光氏は身長170センチ、体重81キロだから、豪快なスイングもボディーサイズも、まさしく“門田2世”と呼ぶのが、ふさわしいのかもしれない。

次のページ 「あれだけ強く振れる選手は、なかなかいない」