

日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、2人の女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、女性に症状が目立つ「帯状疱疹」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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つい先月、同い年の友人から相談を受けました。
「数日前から左の首筋あたりにピリピリした痛みを自覚したの。最初は我慢していたけれど、日に日に痛みが我慢できなくなった…」
泣きながら彼女は、そう言いました。皮膚はどうなっているかと聞くと、赤みを帯びていて、小さな水ぶくれもみられるとのこと。私は、帯状疱疹かもしれないと思い、皮膚科か内科を受診するように勧めました。彼女は帯状疱疹と診断され、処方された抗ヘルペス薬と鎮痛薬の内服を開始。数日後には痛みも治り、1週間ほどでかさぶたになり、今ではすっかり跡も残っていないといいます。
私は、帯状疱疹になったことはありませんが、内科外来をしているとよく見かけます。50歳から70歳の人に多いのですが、20代の患者さんもたまにいらっしゃいます。痛みを訴える人もいれば、かゆみを訴える人もいます。「疲れがピークになると帯状疱疹の発症を繰り返すのです」という20代や30代女性もちらほら見かけます。「何度もなっているのよ」と自分で帯状疱疹だと言いながら診察室を入ってくる人もいます。
「帯状疱疹は高齢にならないとかからない病気だ」と思っていませんか? 実は、若い世代にも多いことがわかっています。そんな「帯状疱疹」についてわかりやすく説明したいと思います。
帯状疱疹とは、「水ぼうそう(水痘)にかかった後に神経の中に潜伏していた水痘・帯状疱疹ウイルスが、ストレスや過労などの誘因をきっかけとして再活性化し発症する疾患」です。つまり、水ぼうそうと帯状疱疹は同じウイルスが原因です。そのウイルスが再活性化されると増殖し、知覚神経を伝って表皮まで到達します。表皮で感染し、さらに増殖すると、神経の走行に沿って皮疹が帯状に出現する。これが、帯状疱疹発症のメカニズムなのです。