1995年7月、大リーグオールスターゲームに日本人選手として初出場したロサンゼルス・ドジャースの野茂英雄投手。2回を無失点3奪三振に抑える好投をみせた=米・テキサス州アーリントン

 メジャー歴9年で惜しくも満額に届かなかったのは、今季から日本に戻って古巣の巨人で現役を続けている上原浩治(元レッドソックスほか)と、1990年代後半から2000年代半ばにかけてマリナーズなどで活躍した長谷川滋利の両投手。そしてもうひとり、5月にマーリンズを自由契約となってしまった田澤純一が今季でメジャー9年目を迎えている。

 こうした年金は、あくまでメジャーリーガーのみが対象。マイナーどまりだった選手たちには1ドルも支払われない。成功者に対して大きく報いる仕組みであり、セーフティーネット的な意味合いは薄いシステムだ。もちろんメジャー昇格を夢見ているマイナーリーガーたちが引退後の年金のことまで考えてプレーしているわけではないだろうが、メジャーデビューが名誉だけでなく、将来的な生活保障にもつながることを思えば、ハングリー精神にも拍車がかかるというもの。「メジャーリーガー」のステータスは、まさにアメリカンドリームなのだ。

(文・杉山貴宏)