――初めて整形をしたのはいつですか?

 19歳のときです。高校3年の秋に学校をやめて、すぐに上京しました。知り合いの高級料亭でバイトをして、初任給の12万円を手にネットで見つけた美容整形外科にかけ込んで、目を二重にしてもらいました。これまでに目は二重と目頭切開と涙袋の3カ所。鼻にはヒアルロン酸。ほっぺに脂肪緩和の注射を打っています。

――後悔はしていませんか?

 していません。わたしにとって大事だったのは、整形した私を世間がどう見るかではなくて、整形した私の目に世間がどう映るのかということでした。整形した後はすごく明るくなれましたし、二重になった私の顔はお母さんにそっくりでとてもうれしかったです。以前の顔は、もう忘れてしまいました。

――リストカットや整形依存から抜け出せた理由を教えてください。

 上京後、すぐに母をガンで亡くし、その半年後に父も亡くしました。とてもつらくて何度も死のうと思った。そんなときに助けてくれたのが、当時住んでいたシェアハウス「渋家(シブハウス)」の住人たちでした。渋家はアーティストやクリエーターなどが集う場所で、強烈な個性を持つ彼らと接することで人間の多様性を学びました。しだいに「他人と比較しても意味がない」、「他人にはなれない」と考えられるようになって、自分らしくあることに価値を見いだせるようになった。あのときシェアハウスにいなかったら、私はこの世にもういないと思います。

――ツイッターなどのSNSを通じて同じような悩みを抱える人たちから相談されることもあるそうですね。

 はい。ただ、あまりSNSはおすすめしません。ネット上には攻撃的な人も少なくないですし、素性のわからない人に依存してしまうと危険です。とはいえ一人で解決するのは難しいと思います。なんでもいいので新しい価値観との接点を持ってほしい。人と接するのが難しければ本でも映画でもなんでもいい。あと毎日をゲーム感覚で過ごしてみるのもいいと思います。クリア場面を思い描いて、そこにたどり着くための毎日をゲーム感覚で過ごす。たとえばおしゃれになりたいならスターバックスで働いてみるとか。面接とか同僚とのやりとりが苦手でもゲーム的な感覚でクリアしていく。そうすると、すこし楽しみながら毎日を過ごせるかもしれません。

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