3月に沖縄県で確認されたはしか(麻疹)は、現在までに愛知県のほか、三重県や東京都、埼玉県などでも感染者が確認されている。沖縄県は8日、新たな患者が出ていないことから終息傾向にある認識を示したが、一方で、大型連休に多くの人が国内外を移動したことから、乳児を含めた感染拡大も懸念されている。自身も1児の母である森田麻里子医師は、親世代に「ぜひ知ってもらいたいこと」として、はしか対策について語った。
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まず、1977年から1990年生まれの方に確認してほしいことがあります。家に、または実家に埋もれているであろう「母子手帳」を探し出してください。麻疹(はしか)のワクチンを接種しているか確認できますか。そして、何回接種しているかわかりますか。麻疹にかかったことがなく、1回だけの接種という方は、すぐにMRワクチンまたはMMRワクチンを接種していただきたいのです。
2018年3月から、たった1人の感染者を発端に、全国で100人以上に麻疹の感染が広がっています。麻疹は感染力がとても強く、免疫がないとほぼ確実にうつります。咳やくしゃみのしぶきを直接浴びなくても、空気中に漂っているウイルスを吸い込むことで感染するので、普通のマスクでは防げません。感染を防げる特殊なマスクもありますが、密閉性が高いため息苦しく、付けたまま生活するのは無理です。
麻疹の特効薬はなく、今でも1000人に1人が亡くなります。頻度は低いのですが、亜急性硬化性全脳炎という病気になる可能性もあります。赤ちゃんの時にかかった麻疹のウイルスが、脳の炎症を起こし、小学生になってから急に神経症状が出てくるのです。最終的には歩くことも食べることもできなくなってしまう、とても悲しい病気です。
唯一の予防法は、予防接種です。現在はMRワクチンが定期接種になっていて、1歳で1回目、小学校入学前の1年間に2回目を打ちます。お子さんが1歳を過ぎたら、とにかくすぐに予防接種をしましょう。