子どもたちが背負っている荷物が「脱ゆとり」以降、重くなっているという。ある調査では、ランドセルやサブバックを含めた総重量が体重の約半分に達する子までいることもわかり、ツイッターでは「教科書の学校保管を進めてほしい」という投稿が2万6千リツイートされるなど話題になった。成長期の体への悪影響を懸念する医師もいる。だが、教室に教科書を置いて帰る「置き勉」は禁止する学校は多い。なぜ、重い教科書を毎日、持ち帰らなければいけないのか。
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入学式の日。小学校で配布された教科書を新品のランドセルに詰め、娘はヨタヨタと歩き出した。
「『重い、もう歩けない』と言いながら何とか家までたどり着きましたが、学校が始まってからも帰宅後はしばらく疲れてボーッと座り込んでいます。学校まで徒歩20分ですが、ちょっと心配です」
ある母親(40)は、そう話す。東京都内に住む別の母親(45)は、娘が小学生のころ腰痛を発症し、医師の指導でキャリーバッグで登校させたことがある。
「ランドセルとサブバックを持っていましたが、体が小さい方だったのでその重さが負担だったのか、病院では筋肉のバランスが悪くなっていると言われました。学校は置き勉禁止で、『みんながそうしてるから』と学校に相談できずに重いランドセルを持たせ続けている親はたくさんいると思います。娘は中学生になると体がしっかりしてきて症状はおさまりましたが、荷物は10キロ近くになり、なぜ毎日持ち帰らなければいけないのか、理解に苦しみます」
ランドセルを背負ったら、その重さで子どもがひっくり返りそうになった――。友人からそんな話を聞き、調査を始めたのは子どもに関わる消費ビジネスを研究する大正大学の白土健教授だ。2017年11月と18年2月に、東京都内の学童で小学生計36人のランドセルとサブバックなどを含む荷物の総重量を調査。その結果、平均で6.1キロで、最も重かったのは小学1年生の女児で9.7キロにものぼることがわかった。学校保健統計によると、小学校1年生にあたる6歳女児の平均体重は21.0キロ、7歳で23.5キロ。つまり体重の約半分ほどの重さにもなっていた。