中4日が当たり前のメジャーで、中6日で登板していては、規定投球回(メジャーは162イニング)も難しい。打者としても、規定打席(同502打席)に到達できない。大谷が素晴らしい仕事をしても、規定投球回、規定打席に足りてなければ防御率も打率も参考記録です。ましてや、一流選手の証である1シーズン200イニングも無理です。
私は、現役時代に6年連続200イニング投げました。二刀流を続ける限りは、超一流の選手にはなれません。私程度のピッチャーの記録すら抜けないでしょうね。
実際、日本ハム時代も5年間で規定投球回を超えたのは2回だけ。規定打席到達はゼロ。この程度で二刀流というなら、他にも実現できる選手はいっぱいいますよ。
──日米の野球ファンはベーブ・ルースの再来と騒がれてますが……。
ベーブ・ルースは二刀流ではありません。レッドソックスに入団した当初は投手として試合に出て、当時はDHがなかったのでホームランを打っていました。ですが、ヤンキースに移籍した後は打者専門になりました。投手としてほとんど登板していない。そんなことも知らないでみんな騒いでるんですよ。
昨年のパ・リーグでは、西武の秋山翔吾が3年連続でフルイニング出場をして、首位打者もとりました。こういった選手こそもっと評価してほしいのに、大谷が注目される。二刀流ばかり話題になって、認められるべき選手がスターになっていないのは、球界にとっても損失なんです。
──では、江本さんから見て、大谷の才能はどのように評価しているのですか?
もちろん、打者としても、投手としても才能は超一流です。
打者なら松井秀喜以上、投手としてはダルビッシュ有に匹敵する選手になれる可能性がある。しかし、二刀流を続ける限りはこの二人の選手を超えることはありません。私の記録すら抜けないんですから。みなさんの“記憶”には残るでしょうが。
たしかに二刀流は、ファンを喜ばせるし、球団としては興行として儲かる。しかし、プロの目から見たらそれはたんなる「見世物」でしかありません。
──とはいえ、米国での二刀流挑戦は幸先の良いスタートとなりました。今後の課題は?