いくら上質なものを手に入れても、信頼できるクリーニング店を選ばないと、生地が傷んでしまったり、せっかくの風合いがなくなったり、色落ちするなど、チープな印象になってしまうことがあります。品質を保つために、メンテナンス代は惜しまず投資します。

 新しい国立競技場の建設にあたって、その後の膨大なメンテナンス代も話題になりましたが、何かを手に入れるとき、それを維持する覚悟も必要なのです。

 時計やバッグなど、グッチでは、おじいさまやおばあさまのものをリメイクして愛用されていたお客さまも大勢いらっしゃいました。メンテナンス状態のよい品は、たっぷりと愛情をかけられ、存在感がありました。

 一流の方は、メンテナンスに投資し、次の世代に繋ぐ意識を持っています。そして、そこには、ものを作ったひとへの敬意も込められているのです。

(3)サイズの大きいものは選ばない

 役者さんのスタイリングをしている、あるスタイリストの方によると、凡庸な役柄のときは、あえてサイズの大きいシャツを選ぶそうです。

 つまり、外見的にもジャストサイズの洋服は、シャープにカッコよく見える、男ぶりの上がるアイテムなのです。一流アスリートのあるお客さまは、たとえジャージの上下でもサイズ感を重要視され、ピンを打って、理想のフィット感にお直ししたと聞きました。

 どんなに気に入っても、サイズが合わなければ買いませんし、体型をキープされているため、太ったからとサイズを上げるようなこともありません。

 サイズを変えないことは、自分の軸を変えないことでもあると感じます。

 一流の男とは、粋でダンディな大人の男性であり、カッコいいよりワンランク上を言うのだと思います。「大人の男性」の習慣には、外見を良く見せるということにとどまらない、周囲の人やものを作った人、つまり「人」への思いやりや心づかい、そして自分を律する精神が込められているのです。

 ぜひ、この3原則を、今日から意識してみてはいかがでしょうか?(横田真由子)

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