業歴別 企業倒産件数構成比推移 (東京商工リサーチ調べ)
業歴別 企業倒産件数構成比推移 (東京商工リサーチ調べ)
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主な業歴別 倒産企業の平均寿命推移 (東京商工リサーチ調べ)
主な業歴別 倒産企業の平均寿命推移 (東京商工リサーチ調べ)

 2017年に倒産した企業のうち、業歴10年未満のベンチャー(新興)企業の構成比が前年より上昇したことが、東京商工リサーチの調査で分かった。2017年の企業倒産は、9年連続で前年を下回ったが、参入しやすい飲食業や、高齢化社会の到来を見越して設立された高齢者福祉・介護業などの業歴の浅いサービス業などのベンチャー企業の倒産が増加し、平均寿命を押し下げた。

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 倒産企業の平均寿命は3年ぶりに前年を下回り、業歴30年以上の老舗企業の構成比は前年を下回ったものの、依然高い水準を維持している。

 東京商工リサーチによると、この調査は、2017年1月から12月に倒産した8405件(負債1000万円以上)のうち、創業年月が判明しない1087件を除く7318件を対象に分析した。2017年に倒産した企業の平均寿命は23.5年で、前年より0.6年低下した。

 業歴10年未満の新興企業の倒産は1793件で、全体に占めるベンチャー企業の構成比は24.5%となり、構成比が前年より2.1ポイント上昇した。

 東京商工リサーチ情報部の坂田芳博課長は「政府や地方自治体などが推し進める創業支援で事業を立ち上げても、一時のブームに乗っただけで経営計画の甘い経営者も少なくはない」と話す。

 倒産したベンチャー企業の構成比をみると、金融・保険業が44.7%(前年40.9%)と最も高かく、サービス業などの37.6%、(同33.4%)、農・林・漁・鉱業が36.2%(同26.6%)と続く。

 金融・保険業は、日銀の大規模な金融緩和が続く中で、銀行に預けるよりも、資金を投資に回すという傾向が強まる中で、ビジネスチャンスが広まった。

 坂田課長は「低金利の中で、高配当などを謳って出資金を募るビジネスモデルに無理があった投資(資産)運用会社などの失敗が散見された」と分析する。

 そのほか、サービス業では、参入が比較的容易な飲食業や、少子高齢化や女性活躍の進展などの社会変化をとらえて、高齢者福祉・介護事業などの業歴の浅い企業の倒産増加が倒産企業の平均寿命を引き下げた。製造業は8.7%(同9.8%)と、業歴10年未満の企業では、唯一10%を下回った。

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