一皿百数十円から数百円という手ごろな値段で、質の高い本マグロやサーモン、旬の魚が味わえる“グルメ回転すし”銚子丸。ある経済誌の外食利用者アンケートで満足度1位に輝くなど、消費者から高い支持を得ている。「客の期待を超えるすしネタの提供」「劇場になぞらえた郊外型店舗で元気な接客」といった特色が高評価に結び付いているのだが、鮮魚の高騰、人手不足、そして大手百円すしチェーンの台頭といった要因が、従来の成功パターンの維持を難しくもしている。グルメ回転すしを見舞う嵐の海を、銚子丸はどう乗り切ろうとしているのか。石田満社長に聞いた。
銚子丸が力を入れる商品として石田氏が筆頭に挙げるのが、ホンマグロへのこだわりだ。メキシコ産の養殖ホンマグロを仕入れることで、質の高いネタの安定した提供を実現している。「ですがそれだけでは、舌の肥えたお客様には驚きを提供できません」。より原価は張るが、脂が乗って身質の良いアイルランド産やニューヨーク産の天然もの、時には大間マグロも仕入れて、時折開催するフェアに投入する。様々な旬の鮮魚については商品部のバイヤーが築地市場で仕入れるほか、銚子港の提携する買い受け人からも購入。「店に入ってのお楽しみ」な、日替わりのおすすめネタとなる。
こうした「お客を感動させ、喜ばせる品揃え」を難しくしているのが、ここ数年続く魚類の高値傾向だ。先に触れたマグロでいえば、高品質な天然ものなどは仕入れ値が高騰し、利益率を押し下げる要因となっている。「例えば質の高いアイルランド産を、安値の時に少しずつ買い集めて冷凍保存する。全90店分の数量が集まったらフェアを打つといった工夫をしています」と石田氏。また“主力選手”のメキシコ産養殖マグロについては、従来は1匹40キロ程度だったものが今年から倍の大きさのものが手に入るようになり、身質も改善。顧客満足の維持と原価率安定の両立を図っていくという。