資金規制がないのは国民投票だけだから国政選挙には影響がないという人がいるかもしれないが、そんなことはない。例えば、9条改正PRの中で、
「憲法改正本当に必要なのかしら」
「よくわからないね」
「枝野さんはダメだって言ってるし」
「そうだね。でも安倍さんになってから日本はずいぶん景気が良くなって、僕たちのアルバイト代も上がったよね」
「そうね。アベノミクスのおかげね」
「そうやって景気を良くしてくれた安倍さんが言うんだから、憲法改正も安倍さんの言う通りにしていいのかもしれないね」
などと宣伝すれば、9条の話の中でアベノミクスの宣伝もできるのだ。これだと、資金力で圧倒的に勝る自民党側が完全に優位に立てる。
さらに、仮に、衆院選・参院選同時実施となれば、野党は、まず、候補者をそろえられなくなるだろう。資金的にも苦しい。おそらく政策の中身ではなく、ロジスティックで勝負ありということになるのではないだろうか。
これまでも安倍総理は意表を突いた解散を行っている。しかも上述した通り、衆参同日選は決して奇策でも何でもない。極めて論理的な帰結として出てくる話だ。今回それを考えたとしても全く不思議はない。
●秋の自民党総裁選で4選も見えてきた安倍総理
ここまで読んで、読者は、18年と言えば、秋に自民党総裁選があるのを忘れていないかと思うだろう。
実は、19年夏の衆議院選同時実施の可能性を春くらいににおわせることができれば、3選はまず確実になるだろうという話があるので、衆議院選の話を先に持ってきたのだ。
19年夏に衆議院選挙の可能性があるとなれば、その公認権を握る安倍二階ラインの力は非常に強くなる。そうなると、安倍3選に異を唱えて負けた場合の報復措置を恐れて、総裁選に立候補する議員が出ない可能性すらある。出ようと思っても、20人の推薦を集めることも難しい。石破茂氏、野田聖子氏などは、出ざるを得ないだろうが、とても勝てるとは思えない。岸田文雄自民党政調会長や河野太郎外相などもここでの勝負に出るだけの力はとてもなさそうだ。したがって、安倍3選はかなり堅いと見てよいのではないだろうか。
18年に総裁選を勝利し、19年に衆議院選まで終わらせて大勝利すれば、その後は22年の参議院選まで3年間国政選挙をする必要がなくなる。21年9月にある総裁選での4選も不可能ではないかも。などという途方もない野望が安倍総理の頭をかすめているのではないだろうか。そうすれば、3年間はやりたい放題。
「美しい国日本」に向けてひた走る安倍総理の姿を見続けることになるのであろうか。
もちろん、もり・かけ問題の再燃、北朝鮮危機などリスクはあちこちにある。運が悪ければ、18年秋の総裁選で負けて憲法改正さえできなかったという結果もないとは言えない。
しかし、最近の安倍総理を見ていると、「どこまでこの人は強運なんだろう」と感じることが増えた。その強運が戌年になっても続くのだろうか。
正月早々、あまり縁起の良い話ではなくて恐縮でした。
安倍総理の運気に関わらず、読者の皆さんが健康で幸多き一年を過ごされますよう、心からお祈り申し上げます。