また、仮に、選挙をやらずに増税延期を決定したとしても、批判が高まるうえに、増税がなくてうれしいと思う気持ちは、その後、半年以上後の19年夏の選挙までは持つはずもない。したがって増税延期は無駄ダマになってしまう。以上の理由から、私は、消費税増税延期はないと考えている。
●19年夏は衆参改憲トリプル投票か?
さて、19年夏に首尾よく改憲に成功したとして、その後はどうなるのだろうか。
景気を下支えしているオリンピック特需のピークは19年夏だと言われている。ということは、選挙後は、そのピークが過ぎて景気はダウンしていく可能性があるということだ。さらに10月に消費税増税が実施されると、駆け込み需要の反動減で、少なくとも半年から1年程度は消費や住宅投資などが大きく落ち込む。あきらかに景気のスローダウンないし、景気後退ということになるだろう。20年の夏には五輪・パラリンピックがあって、多少の盛り上がりはあるだろうが、逆にその後はさらに景気に逆風となる可能性がある。
そんな中で、衆議院議員の任期が21年の10月に迫ってくる。そこまでに景気を回復して、選挙に有利な状況を作れるかというと、どうかなと誰もが不安になるだろう。
こう考えると、一つ重大なことに気づく。実は、衆議院の解散総選挙も19年夏に同時実施した方が良いという考え方もできるということだ。上に述べた通り、19年夏はあらゆる意味で好条件がそろう。そうであれば、衆議院選挙も同時に実施しない手はないと考える方が自然だ。
●湯水のごとく金を使ってアニメで攻略
実は、国政選挙と改憲の国民投票を同時に行うメリットがもう一つある。
それは、国民投票では、投票勧誘活動について資金の上限規制がないということだ。自民党、官邸が持つ100億単位の金を全部つぎ込んで運動ができる。しかも、発議の時からやれば、数カ月それができるのだ。おそらく、安倍総理はお得意の広告代理店を使ったPRに湯水のごとく資金を使うだろう。カネのかかるテレビのCMを大量に垂れ流すのではないか。それも政治家が出るのではなく、面白いキャラクターを使ったアニメで、全世代向けにPRを行うだろう。