東京商工リサーチの調査によると、2017年3月期決算の上場企業2,172社の平均年間給与は628万1,000円(中央値610万円)で、前年より4万1,000円(0.6%増)増えた。2010年3月期以来、7年連続の増加で、7年間で49万1,000円上昇した。ただ、伸び率は2016年3月期(前年比1.2%増)を0.6ポイント下回り、2013年3月期(同0.2%増)以来の1%割れで、伸び率の鈍化が目立った。
業種別では、建設業(711万8,000円)が唯一700万円を超えた。10業種のうち、水産・農林・鉱業、金融・保険業、不動産業の3業種を除く7業種で増加した。業種別伸び率は、2011年3月の東日本大震災後の原発稼働停止で落ち込んだ電気・ガス業(前年比3.8%増)が急回復、建設投資で潤う建設業(同3.1%増)の2業種の伸びが突出した。
経団連によると今春の大手企業の賃上げ率は2.3%増(売上高500億円以上の東証1部123社)で、4年連続で2%を超えた。だが、上場企業のなかでも輸出を手がける東証1部の大手と、中堅企業や金融、内需型産業など、規模や業種による格差が鮮明になった。人件費上昇と収益確保が重い課題となり、今後の企業の成長と平均給与の伸び率の動向が注目される。
上場企業2,172社のうち、平均年間給与が前年より増えたのは1,312社(構成比60.4%、前年1,348社)で6割を占めた。減少は844社(同38.8%、同809社)、横ばいは16社(同0.7%、同15社)だった。平均年間給与の「増加」企業数は2年連続で減少し、ピークだった2015年の1,497社から185社減少、平均給与の伸び率鈍化につながった。