元ブラジル代表のフッキとマッチアップする長澤(左)(写真:Getty Images)
元ブラジル代表のフッキとマッチアップする長澤(左)(写真:Getty Images)

 日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督は10月31日、11月の欧州遠征に臨むメンバー25人を発表した。浦和レッズのMF長澤和輝が初選出となった。

「ここ4、5試合、それより前は見ていなかったが、ACLの浦和での出来でいいと思った。守備も攻撃も本当に運動量豊富な選手だ。守備での役割もしっかりこなしつつ、攻撃でも何かもたらせる数少ない選手だと思う」

 初招集の選手としてはかなりの“ベタ褒め”だが、特に評価を高めたのはACL準決勝・上海上港戦の2試合でのパフォーマンスだろう。日頃からハリルホジッチ監督が強調する“デュエル”がぶつかり合うような試合で長澤はブラジル代表クラスのオスカルやフッキ、中国代表のMF陣を相手にした“デュエル”で引けを取らず、攻撃に転じれば豊富な運動量で勢いをもたらした。

 浦和ではミハイロ・ペトロヴィッチ前監督のもとでほとんど起用されず、代表指揮官が彼を全くチェックできていなかったのも仕方ない。だが堀孝史監督への交代が転機となり、ACL準決勝2試合でスタメンに抜擢されるとそれまでの鬱憤を晴らすかの様に躍動した。さらにJリーグでもスタメン起用され、29日の広島戦ではダイナミックな飛び出しからのスーパーゴールで期待に応えた。

 ただ、ACLのパフォーマンスを見た時点で、ハリルホジッチ監督の腹は25歳のMFを招集することでほぼ固まっていたのではないか。ACL準決勝を制した浦和はベルギー戦(11月14日)から4日後に、サウジアラビアのアル・ヒラルとの決勝の第1試合を戦う。そのため、疲労や怪我のリスク、事前にUAEで合宿を行うクラブの準備への影響を懸念し、浦和の選手が5人も招集されたことに疑問や批判の声があがっており、メンバー発表会見でも質問が出たほどだった。

 ただ、初選出の長澤にとっては世界的な強豪との対戦でいきなり存在価値をアピールするチャンスとなる。

 中盤でまず求められるのは相手からボールを奪う能力であり、山口蛍や井手口陽介はそのスタンダードが日本人としてはハイレベルだ。長澤もACLで見せたような“デュエル”を強豪相手に発揮できれば強みにはなる。ただし、今回の選考では倉田秋、3年ぶりの復帰となる森岡亮太とともに攻撃的MFに位置づけられており、正確なパスやタイミングの良い飛び出しも期待される。

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