健康のために運動しているのに、ちょっと走ったりジャンプしたりするとひざや腰が痛くなる。週刊朝日MOOK「腰痛 肩こり ひざ痛のいい病院」では、そんなシニアが気をつけるべき、やってはいけない運動について、スポーツ医学の専門医に聞きました。
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シニアは、今の自分のからだの状態を知らずに若い頃の意識で、「このぐらいやっても昔は平気だったから大丈夫だろう」と無理な運動をして、思わぬケガや痛みを引き起こすことがあります。そうなると、本来は健康にいいはずの運動も害となってしまいます。
人にはそれぞれ持ちうるからだの機能の最大能力と通常時の能力の差、つまり「予備能」があります。年齢を重ねると、この予備能が低下していきます。予備能の低いシニアは、ふだんあまりしない動きを伴う運動はリスクが高いといえます。必ず、自分の予備能にあった適切な運動を適切な量とタイミングでおこなうこと、日ごろから予備能を高めるためにからだを鍛えておく意識も大切です。
具体的にシニアが注意すべき運動にはどんなものがあるのでしょうか。
年をとると筋肉量が減り、軟骨を作る細胞の活性が低下して、ひざの関節の軟骨や椎間板の中の水分量が減ってきます。そうした状態を「変性」といいます。
ひざの軟骨が変性して痛んでいる場合、「ジャンプ」や「走る」などの動きは、加齢で関節まわりの筋肉がきちんと働かないと、足が着地するたびにひざがグラグラと揺れ、軟骨をさらに痛める要因になります。大きな負荷がかかるため、炎症を起こして、痛みをひどくしてしまう可能性もあります。
このほか、加齢により腰の関節まわりの筋肉も衰えてきて骨に直接負担がかかるようになります。それが椎間板の変性を進めて骨の変形を起こし、ラジオ体操などで前かがみになるだけで腰の痛みを引き起こすこともあります。この骨の変形が神経の通り道を狭めて神経に触るのが脊柱管狭窄症です。