あべけん太さんは、自称小栗旬似の「ダウン症のイケメン」だ。IT企業の総務部で、週5日、9時から5時まで働くサラリーマンでありながら、最近はテレビやイベントに出演する機会も増えている。底抜けに明るいけん太さんだが、2011年に大好きだったお母さんを事故で亡くしている。初の著書『今日も一日、楽しかった』では、お母さんのこと、家族のこと、職場のこと、彼女のこと、障害者という言葉のこと……さまざまな思いを記した。あべけん太という「ダウン症のイケメン」の正体に迫る。
――仕事にタレント活動、そして趣味のボクシング、レスリング、絵画と、忙しい毎日を送っているけん太さんですが、元気の秘けつは何でしょうか?
全部すごく楽しいんですよ。全部好きです。頑張った後に飲むビールって美味しいじゃないですか。ちょっと大変だなと感じたら、この後に美味しいビールが飲めるぞと思って頑張ります。
忙しくて疲れたとしても、僕には「養命酒」がありますからね。夜寝る前に養命酒を小さいコップに一杯飲むんですよ。そうすると翌朝疲れが取れていてスッキリです。
――養命酒はもともと、亡くなったお母さんが飲まれていたのだとか。
母はいつも寝る前に養命酒を飲んでいました。僕はビールが好きだから、その時はなんで養命酒なんだろうと思っていました。
何年か前にテレビの収録とか仕事とかいろいろ忙しかった時期があって、急性胃腸炎でバタンと倒れてしまったんです。その時に母が飲み残していた養命酒を飲んでみたんです。そしたら翌朝すっきり! これはええなあと。
それからは毎日、寝る前に養命酒を飲むようになりました。母のボトルがなくなってからは新しいのを買ってきて、毎日必ず飲んでいます。
――とても優しいお母さんだったそうですね。お母さんのことはどんな時に思い出しますか。
今でも家にいる時に「おかん!」って呼んじゃうことがあります。「おかん! パンツがねえぞ!」とか(笑)。言った後で、ああもう母はいなんだったって気が付いて、寂しい気持ちになるんです。母はドリカムが好きだったんで、ドリカムの歌がテレビから流れてくると、母を思い出して涙が出てきちゃうこともあります。