
ラジオDJ歴20年の秀島史香さんが新人時代に気づいたのが、姿勢の重要さです。姿勢は見た目だけではなく、ラジオDJの命でもある声にもいい影響があり、疲労や集中力にも変化を感じたそうです。ここでは秀島さんが自著『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』でも紹介している、いい姿勢のつくり方と効用をご紹介します。
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私の新人時代、1990年代の終わり、インターネットが「おもしろい仕掛けになりそうだ」とラジオの世界にも導入され始めました。「スタジオの様子も写真に撮って載せよう」と、マイクに向かっている私の姿をスタッフが撮影したのですが、その写真を見て驚きました。
まがりなりにも(?)20代のうら若い乙女なのに、後ろ姿は猫背のおばあさん……。ショックでした。これではどんなに声や身だしなみに気を遣おうと、全体像の印象として、詰めが台無しです。仕事中でも家にいても、まずは姿勢をピッと正すことを意識するようにしました。
そうして、姿勢を正すようになってから、うれしいことがいろいろ起き始めたのです。まず、疲れにくくなりました。ちょっと仕事で無理をした1日の終わりでも、ズシンとした体の重さを感じなくなってきたのです。さらに集中力もアップ。それまでは、何かをしていても、つい別のことが気になってしまい、メールをチェックしたりコーヒーを飲んだりとソワソワしていたのですが、姿勢を正すことで気が引き締まり、一つのことに集中して一気にこなせるようになりました。
そして、何よりもうれしかったのは、声にハリが出てきたように感じたのです。
やはり、音楽の先生が言っていた「人間は体全体が楽器なのよ」という言葉は本当でした。楽器のボディの部分である体がぐにゃぐにゃ曲がっていたら、ちゃんとした声を出そうとしても無理ですよね。息も無駄に漏れるからすぐ疲れる。かすれるのも当然。本来の呼吸ができないから、吸うのも吐くのも浅くなり、苦しくなって焦って噛む。恐ろしや、この悪循環をすべて自分でつくり出していたのです。