8月29日の参院本会議で、新党「国民の生活が第一」などの野党は、野田佳彦首相に対する問責決議を可決させた。これに対しジャーナリストの田原総一朗氏はその野党の中に自民党が入っていることに「何をやっているのか!」とあきれて、こういう。
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消費増税法案に反対した「国民の生活が第一」やみんなの党など野党7会派がこの問責決議を提出するのは、それなりに理解はできる。だが、自民党がこの問責決議に賛成するとは、いったいどういうことなのか。
自民党は公明、民主両党と「3党合意」を作り上げ、衆参両院で「消費増税」に賛成したばかりではないか。自党を批判する法案に賛成するとは、自己矛盾もはなはだしい。
自民党の谷垣禎一総裁は、問責の理由について、「内政、外交の両面で、いまの野田政権が国政を進めることは限界だ」と述べているが、それならばなぜ民主党と3党合意したのか。
新聞各紙はいずれも、民主党も衆院選挙制度改革法案の進め方などが強引すぎた、とケンカ両成敗の体裁をとっているが、両成敗では何も主張しないのと変わらない。
民主党も自民党も、お互いを批判、非難しているが、ホンネは選挙だ。
議席数を伸ばす自民党は早く選挙をしたくてたまらない。一方の民主党は、当然ながら選挙をできるだけ先延ばししたいと考えている。
だからこそ、自民党は参院の消費増税法案の採決を前にして、不信任案を出すと民主党を脅し、野田首相から解散の確約を取るために、野田、谷垣会談を実現させた。
だが、公表された約束は「近いうちに国民に信を問う」といったものであり、自民党内で批判が渦巻いた。しかし、本当にこのような約束しか取り付けられなかったとすれば、谷垣総裁はトップの資格なしである。もちろん、水面下では解散の確約を取り付けているはずだ。
※週刊朝日 2012年9月14日号