それなのに政治家はどうだろうか。
震災をめぐり「東北でよかった」と今村雅弘復興相(当時)が言い放ったのは今年4月だ。政治家の問題発言には慣れっこになりつつある私も、このときばかりは「許せない。絶対に許せない」とニュース画面に口走り、奥歯をキリキリとかみしめた。
「閣僚全員が復興大臣」と繰り返してきた安倍晋三首相は25日、記者会見を開いた。衆院の解散を表明し、その理由を語るなかで、震災や原発事故に触れる場面はなかった。野党も野党で、このタイミングの解散に対する批判に終始。その後は新党をめぐるごたごたばかり続いている。
これに先立ち、永田町にはにわかに解散風が吹き荒れた。政治生命がかかる議員たちが右往左往するのはわかるが、もっと気にしなければならない「風」があるはずだ。
風評、風化は福島の人びとの暮らし、ときには命にもかかわる。それをどうすべきだと考えているのか。互いに訴え、被災者に希望を抱かせる選挙戦にしてほしい。
最後に個人的な思い出をつけ加えると、「郡山のSMAP」が載った新聞が配られたのは昨年1月15日だ。昼間になり、職場のアシスタントから1通の封筒を渡された。前年受けた人間ドックの結果で、中を見ると「要 精密検査」とあった。