新天地での活躍が期待される柴崎岳(写真:getty Images)
新天地での活躍が期待される柴崎岳(写真:getty Images)
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 現地時間8月20日、敵地「サン・マメス」のアスレチック・ビルバオ戦でリーガ・エスパニョーラの開幕を迎える、ヘタフェのMF柴崎岳。プレシーズンのテストマッチのパフォーマンスから言えば、プリメーラ(1部)昇格の英雄であるポルティージョ、ボルドー(フランス)で証明することのできなかった本来の自身のパフォーマンスを取り戻そうとするウルグアイU-20代表マウロ・アランバリとのトップ下の定位置争いは柴崎が一歩リードしていると言えるだろう。

 とはいえ、すぐさま定位置を確保したとはいえない。アトレティコ・マドリードとのテストマッチ後、ボルダラス監督は「柴崎はゲームを作ることができる足元の技術がある選手。プレッシャーを掛けられてもボールをキープするという点を改善していかなければいけないが、これからよくなっていくだろう」と、柴崎のスキルと頭の良さを認める一方、フィジカルコンタクトのあるプレーを課題として挙げた。

 くしくもアスレチックはリーガの中でもフィジカルの強いチームだ。しかもホームではレアル・マドリード、バルセロナといった世界トップレベルのチームすらも苦しめる強さを発揮する。一方のヘタフェは昇格1年目で新たに12人が加入とチームづくり真っただ中ということもあり、押し込まれる試合展開になる可能性は高く、ボルダラス監督が目指す「ボールを相手陣内でしっかりと繋ぎ崩すサッカー」を表現することは難しいだろう。

 前線へ回ってくる数少ないボールをしっかりとキープできるかどうか、プレスを掛け続けて守備陣が陣形を立て直す時間を与えられるかどうかが前線の選手には求められる。チーム内でキープ力のあるポルティージョを使うのか、一発で局面を変えることのできる柴崎を使うのか、指揮官の中でもまだ最終決断は出ていないだろう。

 ボルダラス監督が使用するシステムは4‐2‐3‐1。テストマッチでの柴崎の起用方法を振り返ると、ボランチではなく、守備の仕事が軽減され、ラストパスや攻撃の組み立てなど柴崎の良さを出せるトップ下での起用が一番になるだろう。同ポジションを務める上では、FWホルへ・モリーナと、トップのほかサイドでもプレーができるアマスとの関係を高めることは柴崎自身、そしてヘタフェが飛躍する上で重要なファクターになる。

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