80年代までは上の世代の芸人と共演することが多かったさんまも、90年代に入ってからは、お笑いブームの波に乗って続々と出てくる後輩芸人たちとも積極的に絡んでいくようになった。一回り以上も世代の違う後輩たちは、さんまのことを「お笑い怪獣」と呼んで恐れている。そんな彼らに対して、笑いのイロハを優しく手ほどきする姿がよく見受けられるようになってきた。さんまは弟分から兄貴分へとポジションチェンジを果たしたのだ。このことで、下の世代の芸人や視聴者にもさんまの魅力が伝わっていった。
また、2000年代に入ってからは『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)で評論家や大学教授とも接するようになり、これまで手がけてこなかった教養系のバラエティー番組にも乗り出している。また、2016年以降はこれまで30年以上も離れていたNHKにも出演するようになり、『明石家紅白!』『明石家スポーツ』といった特番が放送されている。
共演者の魅力を引き出し、どんな会話からも笑いを生み出すことができるのがさんまの強みだ。「女好きでおしゃべり」という基本路線は変えずに、時代や年齢に合わせて少しずつキャラクターを作り替えることで、彼はずっとテレビバラエティーの第一人者であり続けている。すでに還暦を超え、芸能人生の総決算をする時期を迎えている。さんまが最終的にどんな形でゴールテープを切るのか、これからも見守っていきたい。(文/お笑い評論家・ラリー遠田)