安倍首相は19日夕、官邸で記者会見し、強行採決した「共謀罪」法など通常国会を総括したが、加計、森友疑惑は何一つ、解明されていない。元SEALDsの諏訪原健君はそんな安倍政権の姿勢に怒りを感じたという。
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内閣支持率が10ポイント以上、急落している。当然といえば当然だ。加計学園の獣医学部新設をめぐる疑惑が解明されていないにもかかわらず、通常国会は隠れるように閉会させられた。しかも最終盤には、法務委員会での採決を省略するという異様な手法でもって「共謀罪」法が成立。こんなことをしていては、支持率は下がるに決まっている。
それでも今のタイミングで国会を閉じる必要があったのは、7月に都議選が控えているからだろう。かつて安保関連法成立の際には、「支持率も下がるだろうが、国民は時間がたてば忘れるだろう」と首相周辺の人間が発言したことが報道された。今回も同じ発想で、今のうちに国会での追及が終われば、都議選の投票日までに支持率は持ち直すと踏んでいるに違いない。
何だか無性に腹立たしいが、戦略としては合理的だ。たとえ政権を批判的なまなざしで注視していたとしても、時がたてば忘れてしまうことだってある。しかし忘れてしまっては思うつぼなので、2017年に入ってから起こったことだけでも思い出しておこう。
まずは南スーダンPKOをめぐる問題。PKO参加の原則には、紛争当事者間の停戦合意が成立していることが挙げられているが、陸上自衛隊の日報に「戦闘が生起した模様」と書かれていたことが発覚し、南スーダンPKOの是非が問われることに。これに対して稲田防衛大臣は、「事実としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と答弁。事実を自分たちの都合のいいように解釈するような姿勢には多くの批判が寄せられた。
次に森友学園の問題。小学校開校にあたって、国有地が不自然なほどに安い値段で売却されていたことが問題視されたが、どのような経緯で値引きにいたったのかは今もきちんと説明されていない。ちなみに籠池前理事長を証人喚問した理由は、「首相への侮辱」だったが、このことも衝撃だった。同じ時期には、稲田大臣が、教育勅語に関して「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」と述べたことで波紋が広がった。