さらに当時の今村復興大臣による問題発言。原発事故の自主避難者について「自己責任」との認識を示したことが批判されたが、はじめは大臣を辞めようとはしなかった。結局、東日本大震災について「東北でよかった」と発言したことが決定打となり辞任。

 これらに加えて、共謀罪審議における金田法務大臣の迷走、さらには安倍首相の本も執筆し、親しいとされるフリージャーナリストの山口敬之氏の性的暴行もみ消し疑惑など、多くの問題があるのだが、結局うやむやにされたまま、今日にいたっている。

 こうやって並べてみると、安倍政権が存続し続けていることが不思議なくらいに豪華なラインアップだ。問題が多すぎて、すっかり忘れてしまっていた方もいらっしゃるのではないだろうか……と、言いつつも、もしかしたら僕自身もすでに忘れてしまっていることがあるかもしれない。

 私たちには、忘れないことが求められている。時間がたてば、今の政治状況を忘れてしまうとしたら、政府は同じようなことを繰り返すことになるのだろう。うやむやにすれば何とか乗り切れると覚えてしまった政権が、これからどんな政治を生み出していくのかと考えると、非常におそろしい。こんなことが続くのだとしたら、あまりに不健全だ。簡単に忘れずに、意思表示をし続けることが重要になるのではないだろうか。(諏訪原健)

著者プロフィールを見る
諏訪原健

諏訪原健

諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した

諏訪原健の記事一覧はこちら