■大物芸能人から学んだ「いい空気」のつくり方

 このようにして、日々多くのゲストと番組を盛り上げる秀島さん。コミュニケーションが苦手だったころのことも話してくれた。

「子供の頃からあがり症で、人と会うのが不安でしょうがなかった。DJになった後も、噛むし、とちるし、手は震えるしでもう大変。この仕事は向いてないんじゃないかと大いに悩みました。今だって、人と会うときはドキドキしますよ」

 だが、そのままでは、いい仕事はできないし、自分自身も仕事が苦痛になってしまう…。日々の失敗や、共演者から学んだ教訓をその都度メモにとり、試行錯誤を繰り返して苦手意識を克服していった。

 そんななかで特に影響を受けたのが共演した大物芸能人たちの立ち居振る舞いだという。

「和田アキ子さん、槇原敬之さん、松任谷由実さん……皆さんとてもいい空気をお持ちでした。一緒にお仕事をしながらその源泉が何かを考えてみると、それは『気遣い』なのだと気づきました。周囲の人々が気持ちよく話せるように、楽しく仕事できるように、大物と呼ばれる芸能人の方々はみんな心から気を配っていたのです」

 気遣いという点において、特に印象に残っている人はだれか。この問いに秀島さんは高田純次さんの名を挙げる。

 秀島さんと高田さんの出会いは、ラジオDJとしてデビューする前、大学生時代にADとしてアルバイトしていた時のこと。高田さん主演のCM撮影だった。収録は深夜まで続き、一番疲れているはずの高田さんだが、現場で一番下っ端の秀島さんにも「明日の一限、大丈夫~?」と明るく声をかけてくれた。

「月日はたち、ナレーターとして高田さんと番組をご一緒し、その打ち上げに参加する機会がありました。高田さんは席をまわりながらスタッフを一人一人ねぎらって、番組制作の思い出話をするんです。本当は主役の彼がねぎらわれるべきなのに。そんな高田さんのお人柄と気遣いがあってこそ、スタッフも硬?くならずに全力を発揮できるんだと思います」

 こうした大御所たちに憧れを抱きながら、DJとしてのキャリアを積んでいった秀島さんはある日、高田さんがMCを務めるラジオ番組にゲストとして招かれる。そこで高田さんにこんな言葉をかけられた。

「秀島さんはふるさとみたいだね」

 当時を振り返り、秀島さんは「お褒めの言葉なのか、からかったのか、よくわかりませんよね」と照れ笑いするが、その笑顔には、人をほっとさせるふるさとのような空気。試行錯誤を繰り返すなかで、彼女もいつの間にか“いい空気”を手に入れていたのだ。

(取材・文/dot.編集部・小神野真弘)

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