軽快なトークで人気のラジオDJ・秀島史香さん。DJ歴20年だけに、これまで多くの人をインタビューしたり、ゲストに迎えたりしてきました。自著『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』で明かした、ビートたけしさん、笑福亭鶴瓶さんに初めて会ったときに感じた、永遠のようで、一瞬のような10分間を、特別に紹介します。
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いわゆる「エライ人」は、必ずしも偉そうにしていません。エライ人に会うことを事前に恐れて心配するより、現場でその懐にエイッと飛び込むほうが、上手に受け止めてもらえることもあります。
私がMC(番組進行役)を務めていたNHK『BSコンシェルジュ』の企画で、ビートたけしさんの収録現場にインタビューをしに行くことになりました。
1980年代に人気を博したバラエティー番組『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)をかぶりつきで見ていた私は「天下のたけしさんにお目にかかれる!」とうれしい反面、スタッフからそのお話を聞いた瞬間から早くも緊張していました。
「盛り上がらなかったらどうしよう……」
しかも、その回のゲストは笑福亭鶴瓶さん、所ジョージさん!? ビッグなお三方、「変なことを言って場がシーンとなったらどうしよう……」と不安の無限ループが続きます。
そして当日。たけしさんの収録が終わった後、そのスタジオにお邪魔して、ご挨拶と打ち合わせがあって本番という段取りでした。ですが、番組スタッフから、こんな連絡が……。
「収録時間が押しているので、事前のご挨拶、打ち合わせの時間は省かせてください!」
ということは、ぶっつけ本番でスタジオに入って、インタビューを開始するわけです。戸惑っている時間はありません。
スタジオの重いドアを開けて中に飛び込み、まだセットの椅子に座っているお三方にうわずる声で「どうもー!」とご挨拶すると、
「え? あんた誰?」と鶴瓶さん。
「演歌歌手?」とたけしさん。