4月16日午前6時21分、北朝鮮が5日に続き再び弾道ミサイルを発射した。
韓国でこのニュースが公に伝えられたのは午前8時頃。ミサイルが空中で爆破し失敗に終わったといわれ、特番が組まれるわけでもなく、テレビの番組編成もそのまま。
たまたま行ったソウル都心の光化門広場周辺では地方の特産物が売られ人だかりができていて、外国人観光客の姿もあった。
4月に入ってから、日本の友人から安否を気づかうメッセージが入った。
11日には外務省が韓国への渡航に注意を促し、「おやっ」と思っていたら、12日には韓国の在留邦人宛てに在韓国日本国大使館領事部から「現在、韓国については,直ちに邦人の皆様の安全に影響がある状況ではなく、危険情報は出ておりません。他方、北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射を繰り返していることから、今回改めてお知らせを出させていただきました。朝鮮半島情勢に関する情報には引き続き注意してください」というメールが送られてきた。問い合わせると「差し迫った危険というわけではなく……」と歯切れが悪い。
この日、韓国の外交通商部も「情報誌などで広まっている4月の朝鮮半島危機説は根拠がない」という異例の会見を開いていて、知り合いの韓国紙記者に訊くと苦笑しながらこう言われた。
「4月27日朝鮮半島戦争説に加えて日本の外務省も渡航注意喚起をだしてSNSなどで騒がれたため急きょ会見を持ったようだ。戦争説のほうは日本人の個人ブロガーが発信した根拠のないデマだと判明している。それにしても、米国をはじめ他の国は日本のように韓国渡航について注意喚起などは出していないのに、何か日本では世論を他に向けさせなきゃならない事情でもあるんですか?」
森友学園問題で窮地に陥っていた安倍晋三首相。
4月13日の参院外交防衛委員会では、北朝鮮の核ミサイル開発問題について「北朝鮮はサリンを(ミサイルの)弾頭に付けて着弾させる能力を保有している可能性がある」と雄弁に述べ、日米同盟による抑止力強化の必要性を訴えた。
3月に来日したティラーソン米国務長官が「北朝鮮に対して非核化を求めた過去20年間の政策は失敗だった」と発言したり、トランプ米大統領も北朝鮮に対し、「中国がとり組むならすばらしいが、もし、そうでないならわれわれだけで解決する」とツイッター。
さらには、米国空母カールビンソンも韓国に向かっていて、4月16日には、ペンス米副大統領が訪韓した。
周辺の動きはなにやらきな臭いが、ソウルは5月9日の大統領選挙一色だ。(取材・文/菅野朋子)