――評判は?
岩田:よかったです。6年近くやりましたけど、菌の種類はもっともっとあるんです。だからもっと(連載ネタの)ストックがあって、やろうと思えば「こち亀」や「ゴルゴ13」くらいまでの超長期連載ができましたよ。
――『菌辞典』の巻末には、連載第1回のときの二人の対談が再録されています。初めての対面だったそうですが、お互いの第一印象は。
石川:会ったのは、講談社の社長室特別応接室でしたが、とにかく緊張しましたね。難しい内容に「ふぇ~」とか言い続けることになるだろうと思っていたので。ですが、実際にお話するとマンガがお好きだということがわかり、連載第1回の「インフルエンザ」は、実はその場で描いたんです。だから1回目だけ急いで描いた感のある絵になっています。
岩田:マンガ家さんとお会いするのは初めてで、「そんな目線でマンガを語るな!」とかめっちゃ怖い作家さんだったらどうしようと思って、こっちもビクビクしてたんです。でも、(石川先生が)ジーンズに黒い革のブーツで、全然イメージと違う人が颯爽と現れてですね。いろんな意味で予想を裏切られたという感じでした。僕は石川先生のマンガのいちファンなので、1対1で話せるってすごいよな~って感覚です。
――たくさんの菌をキャラクターに仕上げるには、どういうところを見ている?
石川:(菌の顕微鏡写真を見ながら)あれに目と口を描けば。うん。
――私みたいな素人には、同じにしか見えない……
石川:ああー、素人だな~(笑)。
岩田:同じに見えるかもしれませんけど、石川先生はその違いをきっちりマンガにされていますよ。大腸菌のO-157とかボツリヌス菌とか、マニアの世界から見ると「よく描けてるな~」って思います。
(構成・岡本直里)
<プロフィール>
岩田健太郎(いわた・けんたろう)
1997年島根医科大学卒業。2004~09年亀田総合病院(千葉県)。08年~神戸大学大学院医学系研究科・医学部微生物感染症学講座感染治療学分野教授、神戸大学都市安全研究センター感染症リスクコミュニケーション分野教授。米国内科専門医など。近著に『ワクチンは怖くない』(光文社)など
石川雅之(いしかわ・まさゆき)
代表作は、『カタリベ』『週刊石川雅之』『人斬り龍馬』『もやしもん』『純潔のマリア』など。『もやしもん』で、2008年第12回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第32回講談社漫画賞一般部門、平成20年度醤油文化賞などを受賞。最新刊『惑わない星』第2巻(講談社)も絶賛発売中