宇津木と澤には共通する部分もある。日テレ・ベレーザ出身で、海外でのプレー経験も豊富。さらに身体の大きな相手との競り合いにも譲らず、ピッチ全体を俯瞰できる戦術眼まで、澤と同じだ。得点力という部分では澤に譲るが、宇津木には広い視野を活かせる、長いレンジのキックがある。筋力でヒケをとり、ショートパスに偏りがちだった日本に不足していた大きな展開力を、宇津木は加えられるのだ。

「なでしこジャパンのサッカーは細かい約束事が多く、よくサッカーを知っている人でないとわかってもらえない部分もある。初めてサッカーを見た人でも『わあ、すごいなぁ』と思ってもらえるような大きなプレーも必要だと思います」(宇津木)

 年明けの合宿時から「今は笑っていられるけれど、勝てない時が来た時にどうすればいいかが問題」と、若手がぶつかる壁を予見していた。昨年来のケガと付き合いながら参加したアルガルベカップでも、安定感があった。今回も、所属するアメリカの女子リーグ開幕前という不安要素はあるが、ひとたびピッチに立てば、助っ人らしい活躍を見せてくれるはずだ。

 さて、先月初旬のアルガルベ杯では、横山久美(AC長野パルセイロ・レディース)がエースの座を確たるものとし、初召集された長谷川唯(日テレ・ベレーザ)のブレイクもあったが、チームとしては2勝2敗。内容も手放しで褒められるものではなかった。それもあって「アルガルベ杯から5試合目という感じ」(高倉麻子監督)のコスタリカ戦は、約三分の一の選手が出し入れされた。今夜のゲームの2日後にも、一般非公開でコスタリカとの再戦が組まれており、高倉監督の中では2試合がセットで考えられているはず。初戦のメンバーがどういった構成になるのかは、フタを開けてみるまでわからないが、観戦に来たファンを失望させるほどテストを優先させるとは考えづらい。

 まずはニューフェイス組の顔ぶれを見ていこう。U-20女子W杯・パプアニューギニア大会に参加した隅田凛(日テレ)と、市瀬菜々(マイナビベガルタ仙台レディース)が、フル代表では初選出となった。このふたりは、なでしこリーグ1部の上位クラブでレギュラーとしてプレーしており、格負けはない。

 隅田は、U-20の本大会でボランチとしてレギュラーを張った。一足先にスポットライトを浴びた長谷川同様のハードワークを、所属する日テレ・森栄次監督も高く評価。中里優と片方がボランチ、もう片方がサイドハーフと、対の関係で使っている。高倉監督の構想では阪口夢穂(日テレ)との連携を計算したボランチ枠らしいが、中里との同時起用なら、交代枠を使うことなく、戦況に応じて布陣を変えられる。

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