また白岩は、本田と同じく濱田美栄コーチの門下生。宮原知子や、今季トリプルアクセルを跳んで話題になった紀平梨花ら、勢いのあるチームで練習を積んできた。白岩の魅力はトータル力。お手本のようなジャンプ、基礎に忠実で伸びやかなスケーティング、緩急溢れる表現、そのすべてがマッチして魅力的なプログラムを演出する。全日本選手権のショートでは、スケート靴に手袋がひっかかるハプニングで17位となったが、フリーは3位、総合6位に追い上げた。シニアでも十分に戦える力を証明した白岩。「練習はしっかりやってきた。自分の力をすべて出せれば、結果も着いてくる」と誓う。
この日本女子に対抗するのはロシア女子。特に注目したいのは、アリーナ・ザギトワだ。ジュニアグランプリファイナルで、ジュニア女子初の200点超えとなる207.43点で優勝した。ショート、フリーを通じてすべてのジャンプを演技後半に入れたのは男女通じても史上初という、底力の計り知れない存在でもある。現世界女王のエフゲニア・メドベデワと同門で、やはりチームメイトからの刺激が飛躍の原動力となっている。
また、昨季末からケガに苦しんできたポリーナ・ツルスカヤもエントリーした。昨季のジュニアグランプリファイナルでは、大人びた演技と、ダイナミックなジャンプで、“平昌五輪の台風の目”と噂されたものの、16年世界ジュニアはケガのため棄権。また今季もグランプリファイナルに進出したものの、ケガが悪化して欠場した。満を持して臨む今年の世界ジュニアへ掛ける思いは人一倍だ。
またスタニスラワ・コンスタティノワもロシア女子らしい細い軸のジャンプが持ち味。今季は186.97点をマークし、強力なロシアチームの一角を担っている。
表彰台争いは、日本とロシアの6人による1つのミスも許されない厳しい戦いとなりそう。また平昌五輪の出場資格年齢は「2017年7月1日時点で15歳」で、6人全員とも出場資格を満たす。つまりこの世界ジュニアの争いは、来季の五輪に向けた「シンデレラストーリー」の序奏になる可能性も高い。そんな目線で今大会を見ると、より面白みが増すだろう。(文・野口美恵)