それだけではない。同年10月からはリアルタイムで映像を配信できる「LINE LIVE のんちゃんねる」をスタート。のんが「ワルイちゃん」たちの手作り人形を1人で操作して繰り広げる「ワルイちゃん劇場」ほか、毎回テーマを決めてのフリートークを不定期配信中だ。

 女優としての活躍をなかなか見られないファンにとって、「のんちゃんねる」は貴重な場だ。特異なのは、そういう場所を自ら作ってしまった点だろう。

 さらに他のタレントや女優と大きく違うのが、通常ならイメージアップに利用するブログやTwitter、インスタグラムなどで、ものまねを公開したり、見ているほうがハラハラしそうな長い間や自由なアドリブを連発する動画を配信したりと、テレビでは放送できそうもない実に自由なのんの姿を見ることができることだ。

 特にすごかったのが、2017年お正月放送の「のんちゃんねる」だ。視聴者からあらかじめ「2017年、のんちゃんの目標」を募集していたのだが、採用されたのは「足を開かない」! これを放送のバックに貼ってしまう国民的女優がかつていただろうか?

「のんちゃんねる」で、どこまで自由にやらせてもらっているのか本人に聞いたところ、

「構成作家さんはいらっしゃって、台本という台本は見て演じていますが、(実際に台本と表紙に書かれた大きなスケッチブックを見ながら進行している)ワルイちゃんになる時とコメント部分は自由にやっています」

 とのこと。見ていて少し心配になると正直に伝えると、「普通『のんちゃんねる』は心配になりますよ!」と答えたのん。とはいえ、そこが面白いとも伝えると「マイペースにこのままどんどんやっていく」と、うれしそうに意気込みを語った。

 こうなると、次の展開が気になるところだ。

 のんが中学時代にバンドを組んでギターを弾いていたことは、ファンの間では有名な話だ。今も「ギターは楽しくてじゃかじゃか弾いています。趣味の段階ですが、自分で曲を作ったりして遊んでいます」と話す。ガールズバンドが珍しくなくなった今なら、もしかすると……と期待が膨らむ。

 SNSの力を最大限に活かしているのん。もはや女優にとどまらない新しい立ち位置を手に入れ始めているように思える。(ライター・梅田勝司)