2016年は4戦4勝(4KO)———。昨年12月30日に有明コロシアムで行われた一戦で、村田諒太(帝拳)はブルーノ・サンドバル(メキシコ)を3ラウンドで押し潰すようにストップした。“世界タイトル前哨戦”と銘打たれた一戦に圧勝し、1年を気分良く締めくくることに成功している。
一時は総合力アップを考えすぎている印象もあった村田だが、最近は吹っ切れたような思い切りが感じられる。「海外の方が気持ちが楽。1年半ぶり(の日本)でまた判定やったらボロクソ言われる」といった試合後の正直なコメントも気持ちが良かった。ここまで来れば内容は考えず、勝つことだけを目指してファイトできる。来たるべき大一番には心身ともに良い状態で臨めるのではないか。
すでに報道されている通り、村田のターゲットはWBO世界ミドル級王者ビリー・ジョー・サンダース(イギリス)。このタイトルへの指名挑戦権を持つサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)が、5月6日に予定する次戦でフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)とのノンタイトル戦に臨むことになれば、村田のサンダース挑戦にゴーサインが出るという。チャベスとの同国人対決が流れ、アルバレスがサンダース挑戦に向かった場合、村田はもうしばらくウェイティングサークルで待つことを余儀なくされる。
他力本願の部分もあるだけにもどかしさは残るが、いずれにしても遠くないうちに村田のタイトル挑戦は実現する可能性は高い。なぜならば、現在のミドル級は必ずしも層が厚い階級とは言えないからだ。
長い伝統を持つこのクラスでは、WBA、WBC、IBF王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)という怪物が頂点に君臨し、前述通り人気者の元王者アルバレスも再参戦の機会を伺っている。ただ、あとはサンダース、WBA 正規王者ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)、クリス・ユーバンク・ジュニア(イギリス)が目立つくらいで、若手は意外に育っていない。元IBF王者デビッド・レミュー(カナダ)、実力派のウィリー・モンロー・ジュニア(アメリカ)あたりももはや新鮮味に欠ける。