
■休んでむしろ疲れた
仕事を休めたからといって、疲れが取れるとは限らない、というのも悩ましい。
さいたま市のシステムエンジニアの女性(54)は年末年始を楽しみにしていた。だが、「休んで、むしろ疲れました」。
22年の年末に連休を取るため、最終出勤日は、仕事を終わらせようと深夜まで働いた。待ちに待った連休だが、身体は重い。そのまま、家族と実家に帰省、買い物などバタバタと過ごした。もちろん楽しいこともあったが、疲れはまったく取れなかった。そして仕事始めの日。例年、午前中は社内の新年賀詞交歓会に出席して、オフィスでお土産を配って……とゆるやかに過ごしていたが、コロナ禍になって、なくなった。
「いま思えば、それが仕事始めのウォーミングアップになっていたと思いますが、いまは仕事始めの日も朝からテレワークで通常稼働。フルパワーで働いて、ヘトヘトになって初日を終えました」
仕事を休んでも疲れが取れないことについて、東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身(おさみ)院長は「みなさん、休みを勘違いしています」と言う。
週末、1泊2日で温泉旅館へ──。最高のリフレッシュと思えるが、疲れが解消されるとは限らないという。
「頑張って時間をつくってレジャーに出かけても、知らない場所に行くストレスや動き回った疲れが出てしまえば、結局休んだことになりません」
■疲れは体のアラート
仕事に集中して頑張りすぎると、交感神経が緊張して自律神経が活発に働く。すると脳の神経細胞が活動的になり、酸素を発生させ、神経細胞が酸化する。
「神経細胞がさびる“酸化ストレス”がおきます。脳全体のパフォーマンスが落ちて、疲れを感じます」
だから、頑張りすぎると頭が痛くなったり身体がふらふらしたりして、ゆっくり休みたくなる。疲れは体が発するアラートなのだ。疲労がたまれば認知機能の低下やうつ病、脳内出血、過労死のリスクもある。