さらに、胃がんや子宮頸(けい)がんのように検診制度が整っていないという現状もある。口腔がん検診は東京都内でも江戸川区、世田谷区などの一部の自治体でしか実施されていない。検診の対象年齢は江戸川区で40歳以上、世田谷区は61歳からだ。

 若年層は検診の対象外だが、柴原教授は「近年、50歳未満の、特に女性に、口腔がんが増えています」と話す。

 口腔がんを早期発見するには、歯科医院で見つけてもらうことが一番だが、日頃のセルフチェックも重要になる。目で見えるところにできる口腔がんは、自分で見つけられる珍しいタイプのがんだ。柴原教授は、まずは週に1回でも、口の中を観察することを勧めている。

 チェックポイントは赤と白。リホさんのように、赤と白の斑点やびらんが口腔がんの初期サインなのだ。口腔がん撲滅委員会のシンボル「レッド&ホワイトリボン」で覚えておこう。

 口腔がんの発生場所でもっとも多いのは舌だ。特に舌の横側や、先端、裏側にできやすい。次に歯肉。舌の下にある口腔底、頬の裏側の頬粘膜、上あご、唇にもできる。

 今すぐ、鏡の前で口を大きく開けて、舌、歯肉、頬などをよく見てみよう。赤や白の斑点がないか、盛り上がったしこりはないか。乳がんのセルフチェックのように舌や頬をやさしく触ってみることもおすすめだという。

「2週間以上治らない口内炎がある場合は、歯科医院へ急いでください」と柴原教授。より詳しいセルフチェック法は、口腔がん撲滅委員会のホームページで紹介されている。(ライター・井上ゆき)

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