三条市立大学(大学提供)
三条市立大学(大学提供)

 ものづくりをリードする人材を育てる大学として注目を集めるのが、2021年4月に開学した三条市立大学(新潟県三条市)だ。工学部技術・経営工学科のみで、1学年の定員80人の小規模校ながら、岸田文雄首相が今国会の施政方針演説で同大について触れるなど、存在が全国に知られつつある。

 キャンパスがある燕三条エリアは、国内有数の金属製品の産地として知られる。学生も職員も地元出身が多いのかと思いきや、22年度の入学者82人のうち県内出身者は42人と半数程度。近県だけでなく、東海や関東からも学生を集めている。

 志願者の関心を集めるのは、単に技術を学ぶだけでなく、マネジメントについても習得し、市場にどう展開させてゆくかまで考えさせる教育にある。講義は機械工学を主軸とした授業・実習と、技術を用いた経営戦略などについて学ぶマネジメント系科目、語学を始めとする一般教養科目の大きく三つ。加えて、学生が自ら燕三条地域内の企業に足を運び、地域の歴史や製品、業界や市場の分析、製品や技術の開発などについて企業の現場で実践的に学ぶ産学連携実習の授業にも力を入れる。

 学長のアハメド・シャハリアル氏はバングラデシュ出身の元留学生。「最終的には国内を超え、世界規模で学生を集めるのが目標」と語り、新たな価値を創造するために多様な人材と交わることの大切さを説く。

「次世代のものづくりに対応した人材を育てる上で大切なのが、ダイバーシティーの観点です。従来はメーカーの視線が重視されてきましたが、これからは使い手の目線に立ったものづくりが求められます。県内の学生で固めるよりも、海外からも受け入れを増やしたほうが、学生の視野は一気に広がると思っています」

 大胆な“国際化”をきっかけに、“地元の人だけが進学する”というイメージから脱した大学もある。

 福岡女子大学(福岡市)は1923年に発足した初の公立女子専門学校がルーツ。2006年に設置者が県から公立大学法人となったことを機に、女子大としてのあり方を根本的に考え直すことにした。

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