在日ネパール人に、日本とネパールのニュースを届ける
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「ネパリ・サマチャー」編集長のティラク・マッラさん
「ネパリ・サマチャー」編集長のティラク・マッラさん
ネパールフェスティバルではカレー屋のブースがずらりと並んだ
ネパールフェスティバルではカレー屋のブースがずらりと並んだ

 外国に住む人々は、現地でもコミュニティーをつくっていく。そのなかで、とりわけ重宝されるものが、母国語の情報誌だ。いまではウェブ版も多いが、フリーペーパー、新聞、有料誌、さまざまな媒体が国外に住む人々の情報源となり、暮らしを支えている。日本人も例外ではなく、たとえばタイでは、10誌以上の日本語メディアがしのぎをけずる。アメリカやベトナム、中国などでも在留日本人向けの媒体は多い。

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 もちろん日本に住む外国人たちも、自らのメディアを持っている。「ネパリ・サマチャー」は、1999年発行の老舗新聞で、在日ネパール人たちの間で親しまれている。「ネパール新聞」という意味だ。

 同紙の編集長を務め、また発行元であるGMTインターナショナルの代表、ティラク・マッラさん(53)は「広告主や、ネパール人の集まるレストラン、食材店、日本語学校、それに年間契約をしている読者など、毎号8000部を刷っています」という。隔週発行で、1号あたり100円。1面と8面はカラーだ。

「ネパールの記事と日本の記事、半々くらいでしょうか」(ティラクさん)

 ネパール大使館を訪れたネパール要人のインタビュー、天皇陛下生前退位に関する記事、オリンピック、日本の生活に必要な日本語の解説……。

「日本語がまだあまりできない在住者のために、マイナンバーや消費税増税、地震のことなども発信してきました」(ティラクさん)

 8月上旬に東京・代々木公園で開催されたネパールフェスティバルの様子も大きく取り上げられていた。9回目となる今年は、両国の国交樹立60年という節目でもあり、多くの客でにぎわった。ネパール料理のブースが立ち並び、ネパールから招かれた歌手がステージで躍動する。

 ひときわたくさん並んでいるのは、国際送金や、国際電話カードを扱う会社だ。この数年、日本に住み、働くネパール人は急増している。東京都内では、居酒屋やコンビニエンスストアなどでアルバイトするネパール人の若者をよく目にする。

 現在、日本国内に在住するネパール人はおよそ5万5000人。ここ2年半でおよそ3倍になった。

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