特に、東京で香取大神(フツヌシ)を祭る亀戸香取神社は、オリンピック出場選手の祈願の多い神社として知られていて、ここで授与される「勝守」や「勝運袋」を携えて試合に臨むスポーツ選手の話は枚挙にいとまがない。

●アスリートの神さま

 陸上競技だけではないが、スポーツ選手に欠かせないのが足の速さである。野口みずきさんが参拝し、アテネ五輪で金メダルを獲得したことで一躍有名になったのが、伊勢神宮そばにある宇治神社だ。別名を足神さんと言い、境内の撫石で悪い足の治癒祈願に御利益があるとも言われている。

 東京にも健脚寺院で知られる延壽(えんじゅ)寺というお寺があり、3日で横浜から身延山まで仁王像を担いで運んだ日荷というお坊さまの健脚にちなんで、特にマラソンをする人がお参りするお寺として知られている。この他にも、足の速い人を指す言葉である「韋駄天」を祭るお寺は、総じて陸上選手やサッカー選手の参詣が多い。多くは脇侍として祭られているのだが、たとえば東京では、人形町の大観音寺や、亀戸香取神社由縁の社・稲足神社の別社である新宿韋駄天尊がよく知られている。

●選手と同名で有名になった神社も

 ところで、サッカーの日本代表のユニフォームに描かれている八咫烏(やたがらす)はよく知られているが、この鳥は、和歌山県・野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)のシンボルでもある。このため、多くのサッカーファンは、熊野神社へ勝利の祈願をしてきた。八咫烏(あるいは同様の3本足の鳥)のモチーフは、世界中の神話の中に幾種も登場し、多くは勝利や成功への導きの遣いとして描かれている。

 また、世界のトッププレーヤーが、逆に神社を有名にしたこともある。小田原にある錦織神社がそれだ。プロテニスプレーヤー・錦織圭選手の活躍と共に、同じ名前という理由からスポーツ上達を祈願する参拝者が急増し、今では本殿に祭られるお稲荷さまより境内社の方が有名になってしまった。私はまだ行ったことがないのだが、錦織神社はほかにも大阪府と岡山県にあるらしい。

探せばもっともっと、スポーツの神さまはたくさんいらっしゃるだろう。これからでも遅くはないかもしれない。ひいきの選手のために、神さまに運を与えてもらえる祈願をするのも、ひとつの応援方法かもしれない。(文・写真:『東京のパワースポットを歩く』・鈴子)
 
以下は、記事内に登場した寺社の住所です。

1.白峯神宮─京都府京都市上京区今出川通堀川東入ル飛鳥井町261番地
2.湯島天神─東京都文京区湯島3-30-1
3.鹿島神宮─茨城県鹿嶋市宮中2306-1
4.香取神宮─千葉県香取市香取1697-1
5.亀戸香取神社─東京都江東区亀戸3-57-22
6.伊勢宇治神社─三重県伊勢市宇治今在家町172
7.延壽寺─東京都台東区谷中1-7-36
8.大観音寺─東京都中央区日本橋人形町1-18-9
9.新宿韋駄天尊─東京都新宿区西新宿3-2-9
10.錦織神社(大稲荷神社境内)─神奈川県小田原市城山1-22-1

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