最終試技で渾身の107kgを持ち上げ、歓喜と安堵の表情を浮かべた三宅宏実。(写真:Getty Images)
最終試技で渾身の107kgを持ち上げ、歓喜と安堵の表情を浮かべた三宅宏実。(写真:Getty Images)
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 リオデジャネイロ五輪競技初日の8月6日(現地時間)、女子重量挙げ48kg級の三宅宏実は驚くほどの運の強さを見せた。昨年の世界選手権は3位になったとはいえ、その後は左膝、腰痛と故障が続き、この日も満足な状態で迎えた訳ではなかった。

 そんな状況は最初のスナッチで露わになった。スタート重量は銀メダル獲得のロンドン五輪より2kg軽い81kg。その重量を2回続けて失敗し、3回目で何とか挙げて「記録なし」を免れたのだ。

 それで、腰への負担がスナッチより軽いクリーン&ジャークではスタート重量を昨年の世界選手権と同じ105kgにする勝負ができた。それを1回目で決め、トータルを186kgにした。さらにスナッチで84kgを挙げていたインドの選手が、1回目の104kgを失敗したあとでメダルを狙った106kgを2回続けて失敗。記録なしに終わったことで、一気にメダルの可能性が開けた。2回目の重量に決めた107kgを挙げればトータル187kgで終わっていたドミニカの選手を抜き、まだ競技を残しているタイとインドネシア選手に次ぐ3位に入れるまでにしたのだ。

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