「ぼっち」への偏見が消えるのか?(イメージ)
「ぼっち」への偏見が消えるのか?(イメージ)
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 漫画家の蛭子能収さんが2014年に出版した新書『ひとりぼっちを笑うな』(角川新書)が順調に版を重ね、売れ続けている。「人づきあいって必要ですか?」という衝撃的なキャッチコピーとともに“友達偏重社会”に疑問を投げかけて共感を呼び、今年2月に累計10万部を突破したという。

 同書は「安心感を求めるための友だち作りなんてやってもしょうがない」といった蛭子さんの持論が並び、何ものにも束縛されない自由な生き方を説いた「ぼっちのススメ」となっている。

 その一方、一人でいるのは「寂しい人」という雰囲気は根強い。最近、ツイッター上で「一人で旅行すると言うと『可哀想』『友人いないんだ』とレッテルを貼られて叩かれる。日本の『一人でいると異常者』論は本当に異常だと思う」などといったツイートが2万回以上リツイートされたことが話題になった。

 特に女性は周囲の目を気にする傾向が強く、5月にオリコンが発表した「ぼっち飯」の意識調査(対象20~40代の男女1200人)では男女の差が如実に……。牛丼店や立ち食いそば店は「一人では入りにくい」と答えた男性が3%ほどだったが、女性は26.2%が「入りにくい」と回答。居酒屋は男性が29.0%、女性は半数以上の57.3%が「一人で入りにくい」との結果だった。

 女性層は「周りで楽しそうに食事してると寂しくなる」「悲しい目で見られそう」といった理由が目立ったそうで、暗黙の圧力を感じているようである。過去にトイレで昼食を食べる「トイレ飯」が話題になったことがあったが、これも周囲の目を気にしてのことだ。この圧力は世代に関係なく普遍的な問題といえるようだ。

「若者に人気のインスタグラムにしても、中高年が中心のフェイスブックにしても、仲間たちとパーティーなどで楽しんでいる写真をアップするのが『リア充』の証となっている。寂しい人だと思われたくないがために“キラキラの日常”を演出することに必死になっている。しかし、これに息苦しさを感じている人は少なくありません」(ITジャーナリスト)

 ストレスを感じてまで「ぼっち」を否定する生き方は幸せなのかどうか、考えさせられてしまう話だ。

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