上目使いが可愛らしい猫の像。
上目使いが可愛らしい猫の像。
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猫柄の絵馬には飼い猫に思いを馳せたメッセージが。
猫柄の絵馬には飼い猫に思いを馳せたメッセージが。
阿豆佐味天神社・立川水天宮、宮司の宮崎洋さん。
阿豆佐味天神社・立川水天宮、宮司の宮崎洋さん。

 いなくなったが帰ってくる――そんな御利益がある神社が、東京都立川市にある。猫が帰ってくるという話は本当なのか、現地を訪ねてみた。

 JR立川駅から少し離れた、住宅街エリアにある阿豆佐味天神社・立川水天宮。ここにはさまざまな神様が祭られたお社があるのだが、そのなかに「猫返し神社」と呼ばれるものがある。ここにお参りすると、いなくなってしまった猫が帰ってくるというのだ。

 訪ねてみると、出迎えてくれたのは猫の像。狛犬ならぬ、“狛猫”といったところだろうか。思わず頭をなでてしまいたくなるかわいらしい風貌だ。その隣には猫の柄が描かれた絵馬があり、そこには「みーちゃんが帰ってきますように」といった、飼い猫に思いをはせた文章が並ぶ。

 奥にはお社がありお参りできるようになっているのだが、そこに掲げられているのは「蚕影(こかげ)神社」という文字。どういうことなのか。

 宮司の宮崎洋さんによると、実は「猫返し神社」というのは30年ほど前に呼ばれるようになった名前で、正式名称は「蚕影神社」だという。立川はかつて養蚕業が盛んな地域だったため、蚕を「お蚕さん」と呼び祀ったのが始まりだそうだ。なぜ、蚕を祀った神社が、「猫返し」になったのだろうか。

「実は30年ほど前に、ジャズピアニストの山下洋輔さんが立川に引っ越して来られたんですが、その時に飼い猫のミオちゃんがいなくなってしまったんです。それで方々探すうちに、うちの神社にたどり着いて。引っ越しのご報告と、猫が帰ってきますようにということをお願いしたんだそうです。そうしたら間もなく、その猫のミオちゃんがよれよれになりながら戻ってきてくれたそうです」(宮崎さん)

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