クライフを偲んで掲げられたメッセージ。この日のバルサはそのクライフの築いた哲学を体現することができなかった。(写真:Getty Images)
クライフを偲んで掲げられたメッセージ。この日のバルサはそのクライフの築いた哲学を体現することができなかった。(写真:Getty Images)
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「バルサと戦うには、苦しむことを知らなければならない」

 主将として敵地カンプ・ノウでの試合を終えたマルセロは、流れ落ちる汗を拭いながら言った。その言葉に象徴されるように、レアル・マドリーは39戦無敗を誇るFCバルセロナの攻撃を受けながらも、とことん耐え、我慢した。その果てに繰り出した鋭いカウンター攻撃によって、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドという両エースの得点で1-2の勝利を得ている。

 しかし、クラシコで勝敗を分けたのは本当に忍耐だったのか?

 世界最高峰リーグ、スペインのリーガ・エスパニョーラの雌雄を決する伝統の一戦、クラシコ。バルサとマドリーの決戦は、前者にとっていつも以上に特別だった。現代バルサの「創始者」と言っても過言ではないヨハン・クライフが肺がんにより死去。スタジアムの熱気は試合前から最高潮まで高まった。

 そして試合直後から、王者バルサが下馬評通りイニシアチブを握る。ボール支配率は70%に迫った。

 ところが気持ちが入りすぎたのか、個人でなんとかしようという気持ちが先立ち、粘り強くサイドから崩せない。世界最高のフットボーラー、メッシでさえも気が逸り、中央からの攻撃に固執。TAPON(バックラインの前で攻撃コースをふたする役)に入ったカジミーロに向かって突っ込んでしまう。ブスケッツを除けば、一人一人のボールを持つ時間が長く、ボールが走らない。足が動くだけに走り回るが、無駄に体力を消耗する。

「考えもなしに走るな。ボールは汗を掻かない。それを忘れるな」

 クライフが植え付けた哲学とまるで逆のプレーを、バルサは展開してしまう。後半に入ってピッチに水を撒き、無理矢理に攻撃スピードを上げ、56分にCKからピケが先制した。しかし選手の動きは鈍り始め、距離感は悪くなっていた。

「疲れがあったかもしれない」

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