自分には、そんなにお金を使わないけれど、孫やわたしたち兄弟のためには使ってくれる。
「お金なんて、持って死ねないし……」
「ボケたら、適当に財産処分して、看病して」
でも、医者である弟二人は、
「お母ちゃんが長生きするために、僕ら医者になったんだから、よかったね」
などと、突っ込んでいる。
わたしもそんな血を受け継いでいるからか、お金を貯めることに執着ない。
「不安じゃないですか?」
とよく訊かれるけれど、
「持って死ねるもんでもないし、葬式代と住むところがあったら、なんとかなる」
と心のどこかで思っている。
それよりも、
「生きてるうちに使ったほうが『ありがとう』のひとつも言ってもらえる」
そう思っている。
4000万のお金と家を残して亡くなった親戚の夫婦。
その後、姉妹は、財産でもめていた。
結果、ほとんど絶縁状態。
わたしは、弟たちともめたくない。
理由は簡単。弟たちが好きだから。
だから、姪っ子も甥っ子も可愛い。二人の嫁もごきげんでいてくれたら嬉しい。
そして、みんな、わたしの娘も可愛がってくれる。
あるカウンセラーの女性の話。彼女は、傾聴のボランティアをしている。
80歳のおばあさんの話を2時間聴いた。