羽生結弦(c)朝日新聞社
羽生結弦(c)朝日新聞社

 羽生結弦がまた記録を打ち立てた。11月28日に行われたフィギュアスケート・グランプリシリーズの日本大会、NHK杯の男子フリーで、羽生は216.07という高得点をたたき出し、ショートプログラム(SP)の得点とのトータルで322.04点という世界最高得点をマークしたのだ。300点超えは前人未到の得点となる。

 前日のショートプログラム(SP)でも世界最高得点をたたき出し、大きく会場を沸かせた羽生だったが、この日も別次元の演技をみせた。演技に組み込まれている3つの4回転ジャンプのほか、すべてのジャンプで完璧と言っていい着氷をみせる。一挙手一投足に気迫がみえ、単調で難しいとされる「陰陽師」の曲を使用しながらも、終始観客を惹きつける、力強い演技を披露した。

 演技直後、羽生自身も手応えを感じていたようで、万雷の拍手のなか大きくガッツポーズを決めると、「ナンバーワン」を示すように人さし指を突き立てて見せた。

 そして表示されたフリーの得点は216.07点。SPとのトータルで322.04点。300点を軽く超える驚異的な得点だった。

 この得点について羽生は演技後のインタビューで「信じられない、びっくりしました」と話し、「スケートカナダからこのNHK杯まで、本当に血のにじむような、本当に辛い練習をしてきて」とこれまでの思いを明かした。

 実は「フリーを滑る前は緊張していて、ブライアン(オーサーコーチ)と話すことができない」状態だったという羽生。しかし「やってやるとは思っていました」と話し、次のように続けた。

「長野のオリンピックのあったリンクで滑るということで、会場にオリンピックのマークもありますし、自分自身にプレッシャーをかけて、絶対王者だぞ、と言い聞かせながらやっていました。これ以上の演技ができるようにさらに練習を積んでいきたいなと思っています」

 羽生はこれで12月11日から開催されるグランプリファイナルへの進出も決めた。

(ライター・横田 泉)